第10話 最終日の夜
そして、1週間の滞在も残り一日になった時。
「1週間って…あっという間…」
「楽しい時間は過ぎるの早いからね」
「うん……ねえ…智樹」
「何?」
≪やっぱ…言えない…無理だ……告白なんて……≫
「菜月?」
「ううん……何でもない…」
「そう?」
「うん」
その日の夜 ――――
「ねえ…智樹…一緒に寝て良い?」
「えっ?」
「いや…えっと…何するとかじゃなくて…最後の夜だし……」
「良いけど…俺も男の子だって事、忘れてない?」
「わ、忘れてないです!」
微笑む智樹。
「おいで、菜月」
私は歩み寄る。
グイッと私の腕を引き寄せ抱きしめた。
ドキン
私達は横になる。
「ねえ…智樹は彼女いたりした?」
「彼女?いないよ」
「それだけカッコイイのに、いない方が不思議な位だね」
「だけど……好きな人はいたよ。でも…俺…鈍感だから失って気付いた時は遅くって…」
「うん……心残りの人いるんだよね?」
「心残りっていうか…付き合っていた訳じゃないから…まあ…心残りといえば、そうかもしれないけど…好きな人…事故死しちゃって…」
「えっ…?」
「でも…今はそこまでないかな?気になる子いるから」
「えっ?気になる子?」
「うん」
「そっか……」
≪じゃあ……告白した所で…フラレるの目に見えてる…≫
「…ごめん…やっぱり部屋…」
グイッと引き止めた。
ドキン
「智樹…?」
「…ごめん…行かない方が良い気がする…」
「…えっ…?」
「…騒がないで聞いて…」
「…何?」
「部屋に…誰かいる気がする…」
ドクン…
恐怖で胸の奥が跳ねる。
「えっ…!?」
「だから俺の傍を離れないで菜月」
「…うん…」
私達は抱きしめ合った。
そしてその状態で、智樹は話を続ける。
「もしかすると…強盗かもしれない」
次の瞬間 ――――
部屋のドアが開いた。
「Hands up!」
ビクッ
銃口を向けられ従う中、智樹は私の前で私を隠す様にする。
「Give me valuables!」
「……………」
「NO!」
「What!?」
「Hear not!」
そして、仲間が来る。
「Japanese?」
「Yes……But he is speak English」
「She is?」
「I Don't no !」
「…………」
「She is my girl friend. No speak English. She is hands not……valuables near not!Get lost!」
彼等は渋々去って行った。
「菜月…大丈夫?」
「うん……」
グイッと智樹に抱きしられ私も抱きしめ返した。
そして、抱きしめ合った体を少し離し、至近距離の状態で
「智樹…私……智樹が……好き…」
「…えっ…?…菜月…」
「わ…ご、ごめんっ!今のなしっ!聞かなかった……きゃあっ!」
ベットから落ちそうになる。
ドサッ
ドキーッ
至近距離に智樹の顔。
今にもキスする寸前の状態だ。
かああああ~~っ
一気に身体が熱くなった。
私は両手で顔を隠そうとした。
グイッと両手を押えつけると見つめる中、私の上に股がる智樹。
胸がドキドキ加速していく。
「智…」
キスをされた。
「聞かなかった事なんて出来ないよ」
「えっ?」
「智樹…」
「あんな不意打ちの告白…菜月可愛すぎだから」
すると再びキスをする。
「遠距離になるけど大丈夫?」
「えっ?」
「逢いたくても逢えないよ。それでも良い?」
「えっ…?それって…」
「先越されちゃったけど…俺も菜月が好きだよ」
ドキン
「えっ…?」
私からおり、私を起こすと肩を抱き寄せる智樹。
「俺が日本を発つ時、みんなに話さないで欲しいって言ったのは…君の涙を見たくなかったから」
ドキン
「本当は菜月と笑顔でまたねって言って一目見て別れたかったけど……我慢した」
向き合う私達。
「菜月…改めて言うよ。俺と付き合ってくれる?」
「智樹…うん…」
私達は再びキスをした。
私達は付き合う事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます