第7話 失恋、おまじない ~イタズラ好きな男の子~

「智樹、お前、いつまでこっちにいる気だ?」


「さあ?気が向いたら帰るかも?今、向こうは休み期間だから」


「あっ!そうだ…お前…日本人顔した幼なじみの外国人だった」


「クスクス…それ、どういう意味~?まあ、ある意味間違っていないかもしれないけど…日本人だし」



「英語ペラペラだから」



そんな会話をする二人。





ある日の事。



「…あれ…?荘也…君…?」



女の子と街を歩いている所を目撃した。



「女の子……誰だろう?」




そして、とあるデートの日、荘也君は待ち合わせ時間に予定通り現れた。



私は黙っているのが嫌で、その日の別れ際 ――




「荘也君…ちょっと気になる事があるんだけど」


「うん、何?」


「この前…女の子と一緒にいる所、街で見掛けたんだけど」


「女の子?」


「正直に隠さないで話して欲しい!好きな人とか実は新しい彼女とか…私達ゆっくり付き合っているけど、キッチリとしておきたいから」



「…最近…付き合い始めた彼女なんだ。でも…菜月ちゃんの事も好きなんだ」


「…そっか…ごめん…でも…このまま付き合っていく気ないから…」


「菜月ちゃん…」


「私が聞かなきゃ、そのままだったって事だよね?」



「それは……」



「私がハッキリとしなかったからだよね?ごめんね……別れてあげるね」



私は走り去り始める。



グイッ


腕を掴まれる。



「待って!菜月ちゃんは悪くないから」




私は掴まれた腕をゆっくり離していく。




「菜月ちゃん…」



すると別の手が伸びてきて背後から抱きしめられた。



ドキッ



≪えっ?≫



「大事な幼なじみ傷付けるの辞めてくれないかな?」




ドキン



≪えっ!?≫



私の視界に入ってきたのは、智樹の横顔だった。



「と…智樹…」


「彼女いながら、菜月と付き合おうなんて考え辞めなよ!」


「いや…そんなつもりは…」


「彼女も好きだけど菜月も好きなんて…むしがよすぎるよ!両方と付き合おうなんて、一人の人愛せないのって…人間としてどうなの?彼女には、もう二度と近付くの辞めて欲しい!行こうっ!菜月」



私の手を掴み歩き出す。



「智樹…」



私は足を止める。



「菜…月…?」



私は智樹の胸に飛び込んだ。



「また……智樹に助けられちゃった……」


「菜月……場所、変えようか」



私は頷き私達は近くの公園に移動した。



「私、恋愛向いていないのかな?」

「えっ?」

「告白されてフラれて……もう2回目だよ」

「まだ2回目だよ」


「えっ?」


「恋愛出来るだけでも幸せだよ。菜月」

「……智樹……」

「だから、元気だしなって」

「……うん……」

「なんて言っても簡単には無理だから、おまじないしてあげるね」


「おまじない?」

「そう。おまじない」



両頬に触れる智樹。


ドキン……



「どんなおま…じ…なぃ…」



ドキーン……

頬にキスされた。



「唇が良かった?」



からかうように見つめる智樹。



「えっ?く…唇は…」



すると、軽くチュッとフレンチキスされた。



かああああ~~っ!


一気に全身が熱くなった。



私は両手で顔を隠す。



≪ヤバイ!≫

≪今、超真っ赤だ!≫





これだけのイケメン目の前に


不意にするキスは反則だ!




グイッと抱きしめられた。



「ごめん、ごめん…つい意地悪したくなった…落ち着くまで、こうしててあげるから」



クスクス笑いながら、頭を撫でる智樹。



「智樹のバカぁ~…絶対、落ち着くまで時間かかるからぁ~…」


「分かった、分かった。本当、ごめん」





冗談も言うけど


イタズラ好きな智樹に


私は振り回されていた






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