第2話 別れ、光に包まれた空の下で・・・

それから、彼と付き合って一ヶ月 ―――6月



「菜月ちゃん、ごめんっ!他に好きな子が出来た」



「そうか。分かった。私達、ズルズルだったし、私よりも良い人が出来て良かったね」


「菜月ちゃん」


「それじゃ」



私達は別れた。




その日の帰り、公園のブランコに乗っていた。




「菜月?」



私に気付く人影。


ゆっくり歩み寄る。



スッと私の両目を覆った。




「だーれだ!」


「…えっ?……友…飛…?…麻沙斗は…こういうイタズラしないから違う気もするけど……」


「さあ?誰?」


「友飛!」


「ピンポーン!」




スッと私の前に顔を出す友飛。




「どうかした?らしくないじゃん!」

「うん…ちょっとね……」

「何かあった?」

「…うん…友達から付き合っている人からフラれちゃって…」



「ええっ!?菜月、付き合っている人いたの!?」



「えっ?……あっ…うん…。だけど、可愛いとかじゃないから、つまんない女の子だろうし。やっぱり付き合うなら、私以外の方が良いんだと思うよ」



「そんな事ないよ!」


「えっ?」


「菜月とは幼なじみだけど、菜月は良い奴だよ!菜月の良さを知らないから」


「友飛……」


「だから、そういう事を言ったら駄目だよ!」


「…ありがとう…友飛…」


「さあ帰ろう!日はとっくに暮れてるよ。ずっとここにいるの?」


「いないよ!」


「じゃあ帰ろう!」


「うん…」




私達は帰るのだった。





そして、夏休みに入り、ある日の事。



「菜月、近々、みんなでキャンプに行こうか」

「えっ? キャンプ?」

「そう。幼なじみのみんなと私達家族で」

「本当!?」

「うん。来年は受験だから、今年いっぱいまでしかゆっくりと出来ないんじゃないかしら?と、思ってね」



「やったー!」

「今後、また機会があれば良いけど、分からないから。タイミングって大事だろうしね」

「うん」




そして、私達幼なじみと家の家族と、キャンプに行く事になった。



キャンプ一日目 ―――



疲れて眠くなる所か目が冴えてしまっている。



私はみんなが寝静まった頃、一人、起きる。




「うわぁ~……星が綺麗~」



空を見上げると空一面には沢山の星たちが、キラキラと光り輝いている。


私はぼんやりと空を見上げていると



「菜月」



ビクッ

突然、声をかけられ驚く私。



「友飛?ビックリした!」

「俺も驚いたよ。まさか先客いるなんて思わないから」



友飛は、私の隣に腰をおろす。


私達は話をする。




「来年の今頃、何してるのかな?」と、私。

「夏休みが夏休みじゃない気がする」と、友飛

「そうだよね」

「色々な行事があって多忙な毎日なんじゃないかな?菜月は、何処の高校に行くの?」

「えっ? そうだなぁ~、まだハッキリと決まってないかな?友飛は?」



「俺も決まってない。でも、俺、バンド組みたいなぁ~って思ってるんだ」


「バンド?へぇー」


「青春楽しみたいかな?って」


「そうなんだね。じゃあ、みんなでバンド組む?みんなに聞いてみたら?」


「えっ?」


「幼なじみバンドって良くない?あっ!それとも、既にメンバーいたりするのかな?募集中なの?」


「組みたいって理想だし、というより憧れるというか夢というか…だから誰にも話してない。今、菜月にだけ初めて話したから」


「えっ?私にだけ?」


「うん」


「そっか…友飛は何の楽器したいの?」

「ギターとかベースとか」

「そうなんだ」

「菜月は何の楽器する?」

「えっ!?私!?私はしないよ~そういうの向いてないからファン第一号で」


「駄目だよ!菜月が幼なじみでバンド組もうって言ったんだから菜月もバンドのメンバーの一人だよ」



「私は無理だよ。和佳菜が向いてるよ。和佳菜は明るいし、友達多いし。私…和佳菜に甘えてる部分あるから…和佳菜がいるから女の子と話せてるから」


「だけど俺は、そんな菜月でも好きだよ」




ドキン



「えっ?」


「幼なじみとして含め、俺は菜月が好き」


「友飛…」




ポー…


「えっ?」



黄色い光が飛び交う。



「……?」




辺りを見渡すと、いくつかの光が私達の周りを飛んでいた。



「蛍?」と、友飛。


「蛍?」


「時期によって違うし、種類もあるけど、雄しか飛ばないって…」


「そうなんだ」

「水面、川面…林の中にいたりする蛍もいるみたいだけど…」

「そっか…綺麗だね」

「そうだね」



私達は蛍の光に癒され



「菜月」

「何?」



友飛は私にキスをした。



ドキン……



「ごめん……」

「ううん……」


「だけど…俺は…本当に菜月の事が好きだから…そ、それじゃ…お、おやすみ……」



友飛は足早に私の前から去った。






















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