「怜（れい）奈（な）」

「何」

「綺麗だよ」

「嘘」

「嘘じゃない」

「はいはい」

　脩平（しゅうへい）はいつも自信満々だ。

　自信満々な人は嫌いだ。だって自分の意見を曲げないから。

「本当に思ってるんだよ」

「ありえない」

「綺麗だよ」

「馬鹿にしないで」

　自分の顔の醜さは自分が一番知っている。

　そんな人間捕まえて「綺麗だ」なんて、馬鹿にしてるんじゃなければ何なんだろう。

　私が一番自信を持てないのは自分の容姿だった。

　それなのに脩平は、自信満々に私の容姿を褒めてくる。どうかしてる、と思う。

「……怜奈はさ、いつも自信満々だよね」

「えっ？」

　自信満々？　私が？　あなたではなく？

「だってそんなに綺麗なのに、自分のこと醜いと思ってる。自信満々に。そこだけは絶対に譲らないよね。自分の意見を曲げない、っていうか」

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