第2話 壺
霊能師は、悲痛な顔で語りだした。
「あなたの今生に影響を与えている宿業が、見えました」
「あなたは、この前世で幼い子供を惨たらし…………いえ、すいません これ以上は語れません、しかし この前世での行いが…………」
まるで酷い苦痛を我慢するように霊能師は言葉を切った。
そして、落ち着きを取り戻した霊能師は語りだした。
「この宿業は、あなたを不幸にする為にご息女に病を与えているようです……ご息女の病は、あなたが過去生で行った悪行からくる宿業です、この宿業は あまりにも惨いです あなたには強い守護霊がいて手が出せない その為 あなたの作った宿業は標的をご息女にしこの呪いのような宿業を成就しようとしています」
「ああ、私の宿業が娘に…… 酷い 酷いです 私に罪があるなら私を、私を呪えばいい…… 私を 私を 呪って 娘に手をださないで……」
泣き崩れる女性に霊能師は優しく抱きしめた。
「少し待っていてくださいね」
そう、霊能師は女性に語り掛けると道場の奥に入っていった。
「これは我が道場を守る結界の一角に使っている、霊宝です。」
女性の前には、台座に乗せられた2つの不思議な造りの壺が恭しく置かれた。
「一つは振り掛かる災厄を吸い取る霊宝の壺 もう一つは幸運の運気を吐き出す霊宝の壺です」
女性は、霊宝の壺に目が釘づけになった
今までに、霊能師から救われた方の御伽話のような物語を何度か聞いている
その中で霊宝の働きにより救われる物語が幾つかあったからだ。
「この霊宝は私の師匠筋にあたる、さる高名な霊能師の方が霊山の土から焼きだした壺です。 霊山の霊験を余すところなく籠められ霊宝として昇華した壺なのです」
「はーーー」
女性は感嘆の声と共に、さらに壺に釘ずけになった。
「この壺は非常に高位の霊宝ですので、今 現在この道場の結界に2つ使っておりますが、もちろん2つで完全なる効果をだすのですが、1つでも十分結界の維持はできます なので、あなたを宿業から救う為に どちらか1つお譲りしようと思います」
「さあ、どちらか1つだけ、お選び下さい」
霊能師の言葉に、女性は悩んだ
どちらの壺なら、娘が救われるのかと
壺は桐の箱に収められ、ビロードの布で包まれた。
その、箱をを持って道場を出ようとして時に呼び止められた。
いつも、道場に来ると出迎えてくれ、道場の中に案内してくれお見送りしてくれる 若い男性の方だ この方は自分は霊能師様の弟子だと名乗っておられた。
いつもなら、無言でお見送りをしてくれるのだが、
「霊宝の壺は、先生が道場の結界用に高名な霊能師の方から、非常に高額な金額を出されてお譲りいただいた壺です。 先生は、あなたを哀れに思われて無料でお譲りになったようですが…………先生に対して、感謝を忘れないように」
と、少しいらだった声で道場を送り出されたのだった。
女性は、霊能師言われたように壺を床の間に置いた。
そして、霊能師から教えられた通りの生活を始めた、壺が霊能を最大効能を発揮するには、日の出と共に朝の空気を壺のある部屋にいれる、出来れば朝日が差し込むなら際に良い そして、用意が整ったら その後 霊能師から教わった真言を壺に捧げる これで壺は、幸運の運気を吐き出す霊宝の壺は、女性にまとわり付く宿業、邪気を払い幸運の運気で包み幸せにしてくれると。
それから、女性は毎朝 日の出と共に目を覚まして長い時間壺に真言を捧げた。
女性は、その生活を続けると今まであったけだるい感覚がなくなり、体が活発になったようだった、すぐ陰鬱に暗い考えに取りつかれていたのがウソのように前に向かえるようになった。
しかし、しかし 娘の病状は変わらなかった。
そして、思い出す壺は2つ揃って完全な効果をだすと。
女性は,すぐに霊能師に会うために道場に向かった。
「先生、どうかどうか もう一つの壺をお譲りください」
霊能師は、悲しい顔して答えた
「申し訳ありません、もう一つの壺をお渡ししてしまうと道場の結界を維持できなくなってしまいます、私の霊能師として力 先達の偉大な霊能師の方々に比べまだまだ未熟 ですが 沢山の方が道場に救いを求めてこられます もし 結界が失われれば私の行いを良く思わない 悪神、邪鬼が大挙して押し寄せて邪魔をするでしょう そうなれば この道場に救いを求めて来られる方を お救い出来なくなります」
女性の懇願を霊能師は断るのだった。
女性は、意気消沈し道場を後にしようとして時、また呼び止められた。
「霊宝の壺を揃えたいのですか?」
弟子の方から質問された
「そうです、あの壺が二つ揃えば娘は救われます どうかどうか 先生にお口添えしていただけませんか」
女性は、チャンスと思った弟子の方から、説得してしてもらえば壺が手にはいるのではないかと。
「私は先生のお供をして、偉大な霊能師の方ともお会いする機会があります。その偉大な霊能師の方々からお声も掛けていただき可愛がっていただいています。 もしかしたら その方々にお話したら壺に変わりに結界に使える霊宝をお譲りいただけるかもしれません」
「ああ、それでしたぜひ お願いします」
女性は、弟子に縋りつくように言葉を発した。
弟子は、渋い顔をしながら話を続けた。
「下世話な話ながら、先生も偉大な霊能師の方達も仙人のように霞を食べて生活は出来るわけではないのです、あの壺も道場の結界用に多額の金銭を支払い譲っていただいたもの、そして代わりの霊宝を得るにもタダで手に入れるのは…………」
「お金ですか、お金ならなんとかご用意いたします、どうか 壺が揃えるようにお力をお貸しください」
「では、では 500万円準備できますか あの壺は たしか500万円でお譲りいただいた霊宝です、同じように結界に使える霊宝なら たぶん同じ金額で偉大なる霊能師の方々にお伺いしてみれば手に入るかもしれません」
女性は500万の金額を聞いて言葉を詰まらせた。
実は女性は、娘の病気を治す為に日本中の高名病院に出向き診察、検査をして貰っていた、もちろん娘をきずかい泊まり込みで出向いていた、旅費 宿泊費はばかにならない、そして東京で娘の病状を軽くできるという手術も高額な費用で行っていた、すでに家計は預貯金は底をついていた。
女性は全てを飲み込んで答えた
「すぐ、ご用意させていただきます」
「分かりました、ご用意出来たらご連絡ください、私の出来る限りですが霊宝をお譲りいただけないか当たってみます」
後日、女性の元に連絡が入る
「霊宝を譲っていただける方が見つかりました、先生を説得出来ればお届けに参ります」
女性の元に壺は届けられた、500万と引き換えに
届けられた災厄を吸い取る霊宝の壺は、幸運の運気を吐き出す霊宝の壺と揃い
その霊験を完全に表す
少しして、夫、女性、娘の3人家族は、2人家族となった。
その後、その女性の家からは楽し気な話声や笑い声が聞こえるようになったそうだ。
出す壺、吸う壺 田中 幸樹 @takoyaki1226
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