第35話 アウローラ編 2


 今日こそ瀬戸菊さんのブログとリンクした弁当を買うため、アウローラさんはわざわざレンタカーを借りに駅近くまでやって来ていた。(アウローラさんは金銭感覚が若干異常)


 仕事柄出張の多いアウローラさんは自家用車で仕事にいくことはほとんどない。


 レンタカーもあまり借りることはないのだが、昨日の雪辱もあり、今日はどうしても瀬戸菊さんとリンクした弁当が食べたかったのだ。


 借りたレンタカーの中でスマホを開き、早速お気に入りページのブログを開く。


「な!」


 しかし、今日はなぜか何の記事もアップされていなかった。


 アウローラさんは軽く途方に暮れながら、その理由について思案を巡らす。


 思い当たることがあるとするならば、数ヵ月前からちらほら見受けられた中傷コメント。


(くそっ、どこのどいつだっ くだらねぇことしやがってっ)


 アウローラさんは怒りに任せてスマホを閉じると助手席へと放り投げた。


 今日の夕飯の行方が急に迷子になってしまって、とても弁当を買いにいく気分にもなれない。


「あ、すみません。今、車借りたんですけどキャンセルできますか?」


 アウローラさんは予定が狂うと一旦すべてリセットしたくなるようだ。

 穏やかな笑顔でレンタカーの受付に無茶を言って車を返してしまった。



(さて、)


 どうしたものかと駅をうろついていると、不意にピロリンとスマホが鳴る。


 LINEだ。


【アッキー今暇?ていうかイマドコ?都内近い?メシ行かね?】


 高校からの腐れ縁である新堂からの、いつもながらの一方的な食事の誘い。


 いつもなら平然と既読スルーをかますところだが、腹ペコだったアウローラさんは、新堂の呼び出しに渋々応じ、親指を立ててウインクするウサギのスタンプを苛立ちに任せて連投してやった。(ただの八つ当たり) 

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