今日は休みだよ

「あ、すいません。バイトリーダー、来週のシフト変えてもらいたくて――」

来週急用ができてしまったから、バイトリーダーに休みの相談をしようと思って声をかけたのだが、私の言葉を最後まで聞かずにバイトリーダーが呆れたように返事をする。


「おいおい、今日は僕は休みなんだから、仕事の話は明日にしてくれよ」

「いや、でも……」

当然、私は街中で偶然プライベートだとしっかりわかる状態のバイトリーダーにわざわざシフトの話なんてしない。店の中じゃないと仕事の話なんてするつもりはない。だから、私は疑問点をそのままぶつける。


「バイトリーダーお店に来てるじゃないですか……」

私の言葉を聞いて、バイトリーダーは大きくため息をついた。

「あのさあ、ここは大手のコーヒーチェーン店なんだから、プライベートでコーヒーを飲みに来ることだってあるんだよ。家から近いから、僕はここで休みの日にコーヒーを飲みながら読書でもしようかと思って来ただけだよ」

「え……、まあ、わかりました……」


腑に落ちないけれど、これ以上言っても私の疑問は解消でき無さそうだからもう黙っておくことにした。私がバックヤードに戻ろうと背を向けると、バイトリーダーが不機嫌そうにため息をついた音が聞こえた。


私がバックヤードに行くと、店の奥で様子を見ていた先輩がこっそり教えてくれた。

「ややこしいでしょ、うちのバイトリーダーこのお店の制服にそっくりな私服を着てお店でコーヒーを飲むのが趣味だから、お休みなのか仕事で来ているのかわからないのよ……」

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