カタカナ禁止ゲーム

「ねえ、カタカナ禁止ゲームしない?」

友人が突然、カタカナを使わずに会話をするゲームをしようと提案してきた。特に断る理由もないので俺は頷く。

「別に良いけど、負けた方がジュース奢りとかでいいか?」

「え? 罰ゲームありにするの?」

「その方が盛り上がっていいだろ」

「まあいいけど。多分僕が勝つからね。凄い秘策があるから!」

随分と友人は自身満々な様子だ。


「じゃあ、今からカタカナ禁止だからね!」

こうしてゲームは始まった。


「なあ、今日の朝何食べたんだよ?」

俺はさっそく友人に質問をする。先手必勝、何かカタカナ言葉で答えてくれたら儲けものである。だが、友人はその質問には何も答えてくれなかった。ただ真顔で口を真一文字にしているだけである。


仕方ないから別の質問をする。

「好きな球技は?」

「……」

「好きな動物は?」

「……」

「好きな食べ物は?」

「……」

「嫌いな食べ物は?」

「……」

「先週の休みの日は何してたんだよ?」

「……」

だが、友人はどの質問にもまったく答えようとしない。


「お前な、そういう作戦は卑怯だぞ。何か話せよ……」

呆れた俺を見ながら友人はようやく笑顔で口を開く。

「これが僕の秘策だからね。これで君に罰ゲームでジュースを奢らせられるよ」

「随分と詰めが甘い秘策だな……」

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