忙しすぎてもう天手古舞!!

「いらっしゃいませー」

扉を開けると店員の大きな声が聞こえてきた。お昼を食べようと適当な飲食店に入ったのだ。お客さんもいないし、すぐに食べられそうだと思ったのだが、なぜだか店員が店中を走り回っている。

「ああ、忙しい! 忙しいよ!」

厨房と客席を行ったり来たりしている。お客は僕しかいないが、何か忙しい事情があるのかもしない。


「あの、すいません」

「はい、なんですか!! 注文ですか?」

忙しいからか、少しムッとしたような言い方をして、こちらにやってくる。

「忙しいんだったら後ででも良いんですけど……」

「いいえ、聞きますよ!忙しいけど!」


相変わらずムッとした調子で言われて思わず聞いてしまう。

「あの、なんでそんなに忙しいんですか?こんなに席がガラガラなのに?」

「なんでって、そりゃ!! ……なんでだっけ? 忙しすぎて忘れちゃいましたよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る