「皆さま今日はようこそお集まりになってくださいました。それでは早速第1回日本お金持ちになりたい協会の会合を開こうではありませんか」

先日発足した日本お金持ちになりたい協会の記念すべき第１回目の会合ということもあり、会長は意気揚々と開会の宣言をする。その名の通りお金持ちになることを目指す協会であり、みなそれぞれお金持ちになるための方法を考えていくのである。

「やはり普通に仕事をするのがいいのではないでしょうか？」

早速誰かが意見を言うと、それに対してまた別の誰かが返答した。

「いやいや、普通に仕事をするだけでは他の人よりもお金持ちになるのは難しい。さらに何かを足さないと」

「では本職と掛け持ちでアルバイトをたくさんするというのはどうでしょうか？」

「なるほど、それは名案かもしれない」

「いやいや、そんなことをしていては寝る時間が無くなってしまう。今どきは投資をしてお金を稼ぎぐのが良い」

「透視？　俺はそんな超能力使えねえぞ？　んなことよりも自動販売機の小銭の忘れ物を拝借するのが良い」

「それは多分ギリ犯罪だからダメですぞ。だいたい今は電子マネーの時代。もう自販機で小銭を使う人も少なくなってきているでしょうな」

そんなやり取りが長々と続いて行った。

そうして皆それぞれ案を出し合い、会議は明け方まで続いたという。だが残念なことにこの協会はあくまでもお金持ちになりたい人たちの集まり。具体的にお金持ちになるための方法を実行したことのある人は誰もいない。結果として一銭にもならない話し合いが長時間行われただけであった……。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい