大事なお話

「うーん、全然返信が来ないんだよねぇ……」

横で大学の女友達が呟いている。サークルの飲み会帰りに酔いを醒まそうということになり、何となく近くの公園で一緒になっていた。

「なんだよ、お前既読無視されてんじゃねえのか?」

俺は少しからかうように笑いながら彼女に伝える。


「そうなのかなぁ」

「そうだろきっと。いつ頃送ったんだよ?」

「3分前くらい」

「なんだよ、3分前くらいならそりゃまだ返事も送れねえよ」

「そっか」

「そうだよ。たった3分メールが返ってこなかったくらいでそんな心配しなくていいだろ」

「うん、でも結構急ぎの内容だから……」


「だったらメールよりも電話の方がいいんじゃねえのか?」

「あ、そうだね!」

そう言って彼女が電話をかけると、なぜか俺のスマホが震え出した。

「いや、こんな近くなら直接言えよ」

俺は電話には出ずにスマホを耳に当てたままの彼女に直接話かける。

「直接だと言いづらいこともあるから……」

彼女が神妙そうな顔で言う。


そう言われるとなんだかこちらも緊張してくる。今まで全く気が付かなかったけど、飲み会帰りの酔ったテンションだし、綺麗な月明かりの光る公園のベンチ、もしかして何か色恋沙汰でも起きるのではないだろうか。そう思って俺は心臓の鼓動を必死に抑えながら急いでスマホのメッセージを確認した。


“ズボンのチャック開いてて恥ずかしいから早く閉めて”

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