勝利への貢献方法

「……以上20名がベンチ入りだ。ベンチに入れなかった者もスタンドから、試合に出ているつもりで力を貸してほしい!」

監督が今大会のベンチ入りメンバーを発表し終え、皆それぞれ悲喜こもごもの様相だった。


そんな中、ベンチ入りできなかった部員が声をあげた。

「僕は今回ベンチ入りはできませんでしたが、グラウンドの中でみんなと一緒にプレイして、勝ちに貢献したいと思います!」


ベンチ外部員の彼の言葉を聞いて、また皆が熱くなった。きっと、グラウンドの中で一緒にプレイをしているつもりで、一生懸命スタンドから応援をしてくれるのだろう、誰もがそう思っていた。必死の応援のおかげで勝てたのなら、それはもう勝ちに貢献していると言って間違いはないのだ。


そして、試合当日。ベンチの中ではレギュラーメンバーの部員たちが話をしていた。

「いやあ、なんか今日は主審が際どい判定全部こっち有利にしてくれてなんか助かってるけど……。なんかあの人、うちの部員に似てねえか?」

「マスクしてて顔はわかんねえけど、雰囲気が似てる人なんてたくさんいるだろ。そんな変な事気にせずに追加点とっちまおうぜ!」

主審の有利な判定のおかげで大勝中のチーム内では和やかな空気が流れていた。

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