リピーターがたくさんいるお店

「さあ、今日はこちらのお店に来ております!」

リポーターの女性が元気よくカメラに向かって言う。リポーターの女性が今日取材に来たのは、何十人ものお客さんが大行列を作っているケーキ屋さんだった。

「では、早速店の中に入ってみましょう」

そう言ってリポーターの女性は中へと入っていく。


店の中は特に何の変哲もない普通のケーキ屋さん。昔ながらの雰囲気は可もなく不可もなくと言ったところで、大行列ができている理由となりそうなものは見当たらなかった。


「凄い行列ですね。一体どうやって集客してるんですか?」

リポーターが尋ねると、50過ぎくらいの逞しい髭を蓄えた男性の店主が答える。

「そうですね、やっぱり味が自慢ですからね。美味しいから皆さん一度来たら何度も足しげく通ってくれるんですよ」


「とくにどのケーキが売れているとかあるんですか?」

「ええ、こちらのショートケーキが売れてるんですよ」

そう言って1つ渡されて、リポーターが味見をする。


「うん、美味しいですね!」

リポーターが感想を述べる。とはいえ本音を言えば、美味しいには美味しいがこんだけ行列を作るほどの味ではないといったところである。


「何かこちらのショートケーキに売れる理由みたいなものがあったりするんですか?」

「そうですね、やっぱりクリームを滑らかなくちどけにしていることと、新鮮な苺を使っていることですかね」

そう説明されるも、正直そこまでクリームも苺も特別な味を演出しているとは言い難かった。


「あと、これはそんなにも関係ないとは思うんですが……」

リポーターが行列の理由を考えていると、店主が続きを付け足した。


「1日1個来店してくれた人にショートケーキをプレゼントしていることですかね」

それが理由だよ! とリポーターは喉まで言葉が出かかっていたが、大人としてその続きは言わないようにしておいた。

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