味の分かる男
電子タバコや禁煙外来をはじめ、ここ数年は禁煙に向けて様々な商品や施策が出されている。
この度新しく禁煙を志向する人に向けて新商品が出たのだ。
『タバコの味がするアイス』
もちろん中にニコチンが入っているなんてことはなく科学的に人間が感じる近い味にしたというだけの代物だ。
蓮斗と壮一は2人で公園のベンチに座って、買ってきたばかりの新商品のアイスを食べようとしていた。
「ほんとにタバコの味がするのか、これ?」
「それがするんだよ。タバコのなんとも言えない空虚な味を再現してくれてる。下手したら電子タバコよりも本物の味に近いと思う」
さっそく蓮斗はアイスを一口食べてみる。
「ふうん……」
「どうだ、味は? タバコの味だろ?」
蓮人の友人の壮一が興味津々に聞く。
「いや、わからん。タバコ吸ったことない人にタバコの味はわからんだろ……」
そう言って蓮斗は目の前の同じ高校の学ランを着た同級生の方を見る。
壮一が大きく目を見開いて"しまった"という表情をしているのが蓮斗の視界に入ってしまう。
その姿は暫く蓮斗の脳に焼き付いて離れない。
まさか目の前の真面目な友人が未成年喫煙をしていたとは……。
☆☆☆☆☆☆☆
家に帰り壮一は頭を抱えた。
「しまったなぁ……。留年しまくっていて、もう成人していることが蓮斗にバレたんじゃないかなぁ……」
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