不審者

男性警官が夜勤をしていると署に電話がかかってきた。


「すいません、不審者が出たみたいで」


男性からの冷静な通報を受けて、夜風が冷たい初春に自転車で現場へと向かった。すでに時間が夜中であることもあり途中で人とすれ違うことは無かった。


現場に到着すると男性が一人ロングコートを羽織って立っていた。


「あなたが通報した方ですか?」

「ええ、そうです」


そう言うと、男性が突然コートを脱いだ。コートの中は上下ともに何も着ていなかった。これではこの通報してきた男が露出狂の不審者ということになるではないか。


「えっと、あなたが警察に通報してきた方でいいんですよね?……」

「はい、間違いないです。せっかく寒い中露出の準備をしたのに辺りに人がいなくて勿体無かったので……」

「そうか……。とりあえず話の続きは署で聞こうか」

「はい……」

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