ある暑い夏の日
暑い日々が続く。気付けばもう8月、夜になってもまだまだ暑い。嫌気がさしてくる暑さの中一本道を歩いていた。
「冷やしてあげようか?」
突然道の向こうから歩いてきたまだ小学生くらいの女の子に声をかけられた。
私はあまり見知らぬ人から声をかけられるのは好きではない。大人だろうと子どもだろうと知らない人間と話すのは面倒だ。
気に留めず私は前を向いて歩く。
「ねえ暑いでしょ?冷やしてあげるよ。」
無視して歩き続ける。
「ねえってば。無視しないでよ。」
気にしたら負けだと思いペースを落とさず歩き続けた。
私の態度に諦めたのかいつのまにか女の子は何処かに行ってしまったようだ。
女の子の声は聞こえなくなり、姿も見えなくなった。
"姿も見えない…?"
この一本道のどこにも女の子の姿はなかった。
長い一本道が続く、前にも後ろにも見通しの良い道。
少し前まで話しかけてきていた女の子の姿はどこにもなかった。
ゾクリとした背筋に冷たい汗が流れた。
私の体は間違いなく冷やされただろう。
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