苦しい修行の成果
男は苦しい修行を積んだ。
何もない部屋でただひたすらに。
ろくに飲み食いもせず一心不乱にに彼自身の持っている才能を開花させるために。
ひたすらに信じ、1日中精神を集中させて真っ白な壁を見続ける。
必ずできると信じ、彼の人生をかけて透視能力を発現させるために修行を続ける。
そんなある日ついに。
「できた!」
彼は掠れた喉の奥から言葉を振り絞りほとんど音になっていない声で歓喜の叫びをあげた。
それからしばらくして、落ち着いた彼に聞く。
「そんなに苦しい修行をしてまで透視能力を得て、何をしようとしてたんだ?」
「戦闘に行って向こう側を見ないといけないんだ」
戦いに出て敵サイドのスパイをするという己の任務のために苦しい修行を厭わない、強い信念を持った素晴らしい人物なんだな。
彼に賛辞を送る。
そして僕は家に帰り湯船に浸かりふと彼との会話を思い出す。
「銭湯じゃないだろうな?」
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