役職名
昼休みに社内でとある部署の先輩社員の
「俺ももうこの会社で7年も働いてるしそろそろ昇進したいんだよな」
「そうですよね。こんなに会社に貢献してる先輩がまだ平社員だなんておかしいですよ」
後谷のその言葉は嘘でもなんでもない。本心から大先が全然昇進できないことを不思議に思っていた。
「名刺交換のときに役職のついた名刺を交換するのが夢なんだよ」
「役職付きの名刺ってかっこいいですもんね! 僕も先輩が役職付きの名刺を持てるように協力しますね!」
「はは、ありがとな」
大先が穏やかな笑いを交えて返す。その日の昼休みは和やかに終わった。
次の日の昼休み経理担当の人がムッとした様子で大先の元へとやって来た。
「あの、変な物発注依頼しないでもらえます? 一応上司には報告しておきましたので」
「え、あ、ああ……」
経理担当の人が机の上に叩きつけるようにして紙を置き去っていった。心当たりのないお説教をされ、大先は首を傾げて机の上の紙を見た。
『発注品名 名刺
枚数 500 (枚)
発注者名 大先
備考 役職名に「平社員」と記載した名刺の作成をよろしくお願い致します。』
「もしかして自分が昇進できないのは後谷のせいなのではないだろうか……」
大先はポツリと呟いた。
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