34.どうしたものか
自分のうかつさはもちろんだけど、それ以上に、事態の仕様もなさに、あたしは頭を抱えた。
「くす玉に、
子供か。
うん、子供だな。それも、くそがつく、がきだ。
「……そんなことして、他の人の服にまで飛び散ったら、
最上級生、と言うのも情けない限りだが、とにかく連中が笑った。
「なに言ってんだ! こんな
「毎年、お上品でおもしろくもねえからな。一味違った出し物で、盛り上げてやろうってんだ。むしろ、感謝されるかも知れねえぞ?」
「あの生意気に
「今年はあちこち、開けっぱなしの、置きっぱなしだったからな。おまえらが間抜けなおかげで、仕込みも簡単だったぜ? ありがとな!」
なんだよ、あたしの不始末でもあるのか。
ああ、もう。世の中、ほんと一筋縄じゃいかないな。
「聞いてどうなるもんでもないけど、あんたは、なんでそっち側にいるのよ。一生の友達なんじゃなかったの?」
「もちろん、友達だからっすよ。って言うか、友達でいたいからっす」
カミルが、肩をすくめた。
「ギルベルタ
「まあ、そうね」
悪いけど、他に言いようがないぞ。
「今時、そんな奴いないだろって思ってたんですけど……ランベルス、そんな感じじゃないっすか。ばっちり理想なんですよね。親父にしても、俺にしても。だから、一度くらい
「
「それは、なにしてたって一緒っすよ」
カミルが笑った。そうは見えなかったけど、多分、笑ったんだと思う。
「学校を出たら、あいつはすぐに
わかる、とは言えない。
でも、全部はわからなくても、少しだけなら、わかるような気がする。
あの時、みんな同じ時間を経験している、とアルフレットは言っていた。
誰とも触れ合えず、一人きりで
運良く
それにしてもヤンセン博士、人間的にも父親的にも、かなり駄目な人なんだな。ちょっと評価が変わったぞ。
あたしの個人的な
このまま、あたしの姿が見当たらなければ、ランベルス達も異常には気がつくだろう。
だが、とりあえず舞踏会は開幕させて、改めて状況を確認しようと考えるはずだ。その場合、くす玉はランベルスの上で割れて、連中の思うつぼになる。
なんとかしようにも、相手は3歳から4歳も年上の男子が、十人以上だ。
本館側、手前側の扉は
奥側の扉は、開け方がわからないのだから、あたしがこの部屋を出られる可能性はない。それどころか、
難しいな。
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