14.もうちょっとゆっくりしたら
その後も、朝食をはさんでみんなで騒いで、フリード侯爵一家は昼前に帰って行った。
執事さんと料理長がぐったりしていたのには悪いけど、すごく楽しかった。今度はアルフレットと二人で、こっちから遊びに行けると良いな。
ちょっとの間だったけど、お客さんが帰った後っていうのは、楽しければ楽しかった分だけ
これも
「
「ギルベルタが喜んでたんだから、お
二人っきりは二人っきりで良いな、うん。切り替えも簡単だな、あたし。
「でも、もう一本って言った時は、けっこう本気でくやしがってたでしょ。変なところで子供みたいなんだから」
ちょっと
「
「誰のせいだと思ってるんですか、まったく。婚約者が他の男の身体を親しげに触っていたら、
あれ?
冗談めかしているけど、なんかおかしいな。
いつもの余裕しゃくしゃくなアルフレットからすれば、ほんのちょっとでも、妙にこだわっている感じがする。
そりゃ、あたし側から
もてあそばれて少し熱くなったほっぺたをさすりながら、アルフレットの顔をじっと見た。
あ。わかっちゃった。
ウルリッヒの方が強いんだ。直接あたしじゃなくって、相手がウルリッヒだから、無視できなかったんだ。
吹き出すのをこらえるのが、大変だった。
だって、こんなになんでも持っていて、
対抗意識と言うか、
「あなたには、かないませんね」
にやにやが止まらないんだから、そりゃ伝わるわな。アルフレットが肩をすくめて、
逃がしてやらないぞ。
追いかけて、さっきのお返しに、ほっぺた同士をぶつけるように抱きついた。
アルフレットと一緒にいると、なんだかあたし、どんどん小動物みたいになっていくな。今なんて、
「ねえ、アルフレット。どうして普段は、お酒を飲まないの? 一人で飲んでも楽しくないから?」
「それもありますが……まあ、心身を
「ウルリッヒと一緒の時は良いの?」
「彼とは長いつき合いですから。今さら、格好をつけるような
「じゃあ、あたしの前では、まだ格好つけてるんだ」
「もちろんです。最大限に格好をつけて、良いところを見せようとがんばっていますよ」
「どれだけ一緒にいたら、ウルリッヒみたいになれるかな」
アルフレットが答えにつまる。あたしだって、言われっぱなしじゃないんだからね。
「大人になったら、あたしとも飲んでよ。格好つけてないアルフレットも見てみたい。良いでしょ?」
「あなたには……かないませんね」
今度こそ観念したように、アルフレットが
そうそう、素直が一番だよ。今日はきっと、女に負ける
問題ないよね、婚約者なんだし。
問題があるとすれば、昨日も今日も勉強してないってことか。
仕方がない。もうちょっとゆっくりしたら、ちゃんとやろう。
もうちょっとだけだから。うん、もうちょっとだけだよ。
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