第5話 手紙
その日、私は自分の机に向かっていた。
蓮くんへの手紙を書くためだ。
手紙って何を書けばいいんだろ?
『好きです』とか『付き合って下さい』なんて書けるわけがないし。
そんなこと書いて、断られたらそれでおしまいだ。
結局、ありきたりな文章と近況報告や身の回りの出来事の報告ばかりになった。
でも、これでいいんだ。
一週間後、蓮くんから返事が来た。
飛び上がるくらいに嬉しかった。
手紙をベッドの中に持ち込み、毛布を被りながら封を開けた。
摸試の結果を見るより緊張した。
中には手紙のお礼と蓮くんの近況報告が書かれていた。
どうやら蓮くんはW実業を受けるらしい。
W実業はスポーツでも学業でもトップクラスの文武両道の名門校だ。
さすが蓮くんだな。
それからもひと月に一回のペースで私と蓮くんの手紙のやり取りは続いた。
こうして手紙を通じて繋がっていると思うだけで嬉しかった。
その以上の関係を望むなんておこがましい、そう思っていた。
私は石高を目指し、猛勉強の日々は続いた。
もう一緒には通えないことは分かっていたが、蓮くんが目指した高校に入りたかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます