第三話 喜多川探偵事務所(その三)

 道中、真吾は周りの人ごみに誤解をされながらも少女を丁寧に案内し、ビル内のエレベータに乗せて事務所内へと案内する。「座っていいよ」という前に、真吾が先ほどまでベッドにしていたソファに座られてしまった。

「ここが、貴様の事務所か。まるで掘っ立て小屋のような場所だな」

 事務所に連れてきて早々、心無い罵倒を受けた気がするが、真吾は大人らしく黙って流すことにした。

「君は、一体何者なんだい?」

 少女は少し考えるそぶりを見せ、一つ頷く。

「私は貴様の事を知っていて、貴様が私の事を知らないのは些かアンフェアか。確かにその通りだ」

「あまり気にはしてないけどね」

 今年の冬は暖冬とはいえ、寒いことは事実。温かいココア入りのマグを少女に手渡す。少女の表情がふと緩んだのが見え、真吾も温かい雰囲気になる。

 その和むような雰囲気に感づいたのか、少女は空気を締めるべく咳ばらいをすると、少女自身の身の上を語り始めた。

「先ほども言ったが、私の名は大宅一二三。名前くらいは聞いたことがあるだろう」

 現代に疎い真吾ではあるが、その名を聞かない日はない。

 この少女は数多の事件を卓越した推理力で解決している、まさに『神童』。警視庁からも直々にお墨付きをもらって個人で事件に関わって解決している。

 対代協定がスタンダードとなりつつある中で、対代協定探偵事務所ランクトップよりも優に稼いでいる。その上、全国に名を轟かす大宅財閥の一人娘である。この時点でかなりの人間であるのだが、そこに『神童』としての頭脳を兼ね備えている逸材である。

 財閥の遺産と『神童』としての依頼金だけで、一生何不自由なく過ごすことのできるほどの莫大な財産を持っているらしい。

 今まで様々な事件を解決してきた神童であるが、その実態は謎に包まれていた。顔も、容姿も、年齢も、何もかもが秘匿(シークレット)。そのために、人々は様々な噂を立ててきた。

「私の姿を知る者は、親類や警視庁上層部を除いて、貴様が初めてだ。光栄に思うがいい」

 そう言うと少女は胸を張るようにして、威張っていた。

「……私の過去について、捜査でもしたいのかい?」

「まあ、そう結論を焦るでない、喜多川。私の話はここからだ」

 一二三と名乗る少女はココアを少し飲むと、続けて語りだす。

「最近、まことしやかに警視庁内部で噂されていることがある。それは、現代のジャック・ザ・リッパーが生きているのではないか、という疑惑さ。警視庁上層部は形式上『模倣犯』ということにしているだろうが、模倣犯にしては犯罪の手口が似すぎているからな。貴様なら分かるだろう? 何せ、当時担当していた人物なんだからな」

 あからさまに真吾の事情を知って、その弱い部分をついてくる一二三。まさに策士であった。

「ああいった死体の特徴は、まさしくそれと一致している。犯人の殺しを、止めたくはないかな? 冤罪を、撤回できるチャンスではないかな?」

 真吾が一二三を本物だと信じ、協力を持ち掛けようとしたその時、一二三が不敵な笑みを浮かべて再び話し始めた。

「私というものは、自分で言うのもアレだが、人というものをこき使って、苦しむ表情を見るのが大好きでね。世間一般的にいう『嗜虐体質』、という奴だろうか」

 真吾は一二三の話を聞いていて、何となくではあるが嫌な予感が立ち込めていた。今その話の内容を断る、というのはできない話なのだろうか。

「周りの評判以外にも、私独自の君に関する調査を行っていてね。かなり……身体能力に長けているそうではないか。それと同時にかなりの馬鹿らしいが」

 また罵倒されたことに対して、もう何も言うほどの気力は持ち合わせていなかった。

「そこでだ。条件付きで私がこの喜多川探偵事務所の脳(ブレーン)となろうではないか。君は得意分野を多く行うことによって金も入る、ある程度名誉回復にもなる。私は君をこき使うことによって性的ではないにしても興奮を覚えることができる、さらにド底辺の事務所を立て直したという、私の名にも箔が付く」

「ちょっと待って、話が勝手に進んでいるようだけど……私はまだ何にしたって了承していないよ?」

 そう言うと、たちの悪い下種のような、それでいて気品を感じられるような笑みを浮かべた。真吾の太ももを静かに撫でながら囁き始めた。

「いいのか? ここで私がこの町に響き渡るほどの大声で『連れ込まれてイケナイコトをされそうだ』と言ってしまえば、君の人生はここで終了だ。君はここで人生を終わらせるほど……馬鹿者ではあるが大馬鹿者ではないだろう?」

 最初から真吾自身の弱みを完全に事前調査によって知られているがために、袋の鼠状態で取引が進んでいたのだった。

 しかも、真吾が絶対的に不利になるように、逆転の余地があるようで実際は全くない、真吾の苦悶に歪んだ顔を見るために仕組まれたやり取りだったのだ。

 一見端麗な美少女に見えて、内面は酷く質の悪い悪魔なのではないのだろうか?

「それで? どうする、確かに君にとっての悪条件が少しばかり目立つが……どうかな?」

「『少しばかり』ではないような気がするんですが」

 いつの間にか一二三に対して敬語になっていた。事件の犯人への復讐心を利用されて、一二三の奴隷となっているのかもしれない。

「よし、では制限時間を設けよう。私も早いやり取りの方が好きだ。十秒、君にあげよう」

 十秒って、待ち時間としてはどうなのだろうか。いくらせっかちな人間でもここまで速い結論出しを望むものだろうか。

 しかし時は無情、そして少女は非情にも、カウントダウンを遅延することはない。寧ろたった十秒のカウントダウンがとても早く感じられた。

 これからの人生がたった十秒間で決まるなんて、ちゃんちゃらおかしい話である。しかし今までと同じような冷たい目を向けられるか、今までと異なる白い目を向けられるのならば、と、真吾は前者を選んだ。

「……分かった。君の、一二三ちゃんの条件を呑もう」

「条件を呑む? いささか、態度が上からではないかな?」

「分かったよ条件に乗らせていただきますよ一二三様!」

 深々とその場に土下座する真吾。しかし一二三……いや、一二三様はこう仰られた。

「いや誰もそこまでしろとは言っていないのだが」

 「態度が上から」と言われたから一二三の望むような体勢に、そして言動にしたのにもかかわらず、「誰もそこまでしろとは言っていない」と言われてしまった。真吾自身がこうするまでに至った覚悟、尊厳、その他諸々を即座に返してあげて欲しい。

「まあでも、君にそこまでの隷属根性があるなら話は別だ。私も、君で遊びがいがあるというものだ」

 一二三は真吾を見下ろしながら、静かにほくそ笑んだ。



 とある大通り。

 数多の酒に酔ったサラリーマンや、そのサラリーマンをカモにしようとするキャバクラのキャッチ。それとむやみやたらに人を好奇心で引き付ける、クラブの音やネオンの数々。様々なものが入り乱れ、眠らない町として話題になったのは、一番街などのメジャーなエリア。

 今はそのなりを少しばかり潜め、静と動が歌舞伎町内でもくっきりと分かれ始めていた。

 確かに昔のような、バブルの時代がそこだけ流れ続けているような「眠らない町」の区画は確かに存在している。

 しかし、それと同時に夜の時間はひっそりと静まり返る、今までの歌舞伎町の街並みとは対照的な、「眠る街」というものが新しく生まれたのだ。そこはコアな風俗街となり、完全なるピンク色の街となった。男も女も、己の肉欲を満たすためだけの街。

 それはとある人間の一声によって生まれた。決して警視庁の上層部が決めたことではなく、かといって国のお偉方が決めたことでもない。

 誰が決めたかは、誰も知らない。

 強いて言うならば、決めた当の本人だけなのだろう。

 そしてその眠る街の一角で今日もまた一つ、この眠る街に新たな火種が起ころうとしていた。


 ある空きビルの一室の中、それは始まる。

 男はまかり間違って姿を悟られないように、無機質な面をつけ、黒のロングコートを着ている。その姿で何をするかというのは、眠る街の人々にはわかるようで、皆男に縋りつくように、周りに押し寄せてくる。

「な、なあ! 今日もアレ、くれよ……じゃないと仕事も身につかない!」

「お願いよ! アレをくれないと……私たちはあの気分に一生なることができないのよ!」

 男はそんな十人程度の人々を軽く諫め、肩から下げたボストンバッグを開く。その一挙手一投足まで、周りの人々はじろじろと見つめ続ける。

「そこまで、これが欲しいか」

 ボストンバッグの中から出したのは、小分けにされたカラフルな錠剤。それを見ると、人々はまるで、新品新作のおもちゃを見た子供かのように、それに飛びつこうとする。

 しかし、好き勝手にさせるわけではない。その人々を統制するためにその薬を利用するのだった。

「一袋錠剤三つ、それを今日は十万で売ろう」

 男がそうその人々に言うと、一気に沸き立った。

 男が売りさばくのは、麻薬だった。その中でも取り扱うのは、MDMA。俗に広がる呼び名としては、エクスタシー、またはモリー。

 男自体、薬をやることは嗜む程度しかないものの、男が楽しみにしているのは、買った人間が行う次の事にある。それぞれが服を脱いで、一糸まとわぬ姿となる。

 男は邪魔をしないようにと、その様子を別室で眺めているのだが、やはり興奮する。

 その場にある、古びた小さなテーブルの上に、男が持ってきたワイングラスに赤ワインを程よく注ぎ、そしてそのワインとささやかなディナーを楽しむ。

 今回のディナーは、トマトのブルスケッタとスモークサーモンのカルパッチョ。

 男はガラス越しの光景を見ながら、ブルスケッタを静かに齧り、咀嚼する。そしてワイングラスを傾け、ほうと一息つく。

「ヒトの欲というものは、こうも美しいものなのか」

 観察し、ささやかなディナーを楽しむことこそが、男にとっての最高の時間である。男自身のいきり立つモノを宥めながら、ではあるのだが。


 手元の時計で午前四時を回った頃にようやく、饗宴は聞こえなくなった。

 男は後片付けをした後、その場を静かに去り、本来の仕事場へと赴く。眠りにつく彼らをその場において。

 得た興奮感は決してあの場で処理するのではなく、男自身の家か仕事場で、というのはいつもの決まり事である。証拠はこれまで、本人たちの饗宴後の物しか残していない。

 男の指紋も、男に関わるものも、全て残さない。結び付く証拠など、何一つない。これは慢心や油断ではなく、確固たる自信であった。

「私を捕まえることなど、今の無能な警察や国ができるはずないさ」

 道行く一人の美しい女性を手に掛けながら、自分なりの最高傑作に仕上げていく。体内にしっかりと自分だと分かってもらえるような「目印」を置いておきながら。

 小さく不敵に笑みながら、男は早朝のまだ日の射さない町の暗闇に溶けていく。



 ある夢を見た。それは、いつも見るような警察時代の悪夢ではなく、巨大な少女に小さな真吾が追われる夢。しかもそれは和気藹々とした追いかけっこではなく、明らかな殺意を持って追いかけられているものだった。

 最初こそ気付かなかったものの、真吾はどうやら文字通り鼠のようで、少女は普通の人間の大きさのままであった。

 しかし大きさの関係性的に言ったら圧倒的に少女に分があるために、真吾は殺される危機感をずっと持ったまま逃げ続けなければならない。

 少女の手には、殺虫スプレーがご丁寧にも握られている。

 しかし必死に逃げるも、見事に少女によって部屋の角に追い込まれていた。真吾を殺そうと屈んだ無邪気かつ悪意のある少女は、真吾に対して殺虫スプレーを噴射する。真吾はどんどんと弱っていき、最後に耳にする少女の高笑いをもって、夢は突如終了した。


 十二月二十一日、現在時刻朝の四時。少女……もとい、一二三は、ソファに横になってすやすやと、気持ちよさそうに寝ていた。その表情はどこかほころんでおり、真逆の夢でも見ているのではないかと、内心羨んでいた。

「……毎日見ていたような……昔の夢じゃない、ってのはまあ百歩譲っていいとして……どのみち死ぬってどういうことだ……?」

 真吾はぼやきながら起き上がり、シンクの上に簡易的に取り付けた百均の鏡に向かい、凍ってしまいそうなほど冷えた水で勢いよく顔を洗う。近くにあったハンドタオルを使って顔を荒く拭いて、髪をオールバックの様にして、ハンドタオルを頭に一巻きして留める。

 その状態で朝食を作るために、冷蔵庫を軽く漁る。あったのは柔らかくなるように下ごしらえした鶏胸肉に酢本来のつんと来る香りがカットされた、「優しいお酢」。これならだれでも、それこそ小学生ほどの子供も好む料理を作れると確信し、さっそく真吾は調理を始めた。

 鶏胸肉を一口大に切り、あらかじめサラダ油を少量しいて温めておいたフライパンの上に、皮目から焼いていく。

 その際に、決して横着してはならない。柔らかくなる下ごしらえをしているとはいえ、加熱すると固くなりやすくなってしまうために、強火ではなく弱めの中火で。

 ある程度肉の中にまで火が通ったら、お酢を適量フライパンに流しいれる。しかし入れすぎると思い描いている料理とは異なってしまうために、適量を心掛ける。

 この時も、焦げないようにしっかりと鶏胸肉とお酢の様子を見ながら、さらにゆっくりと加熱していく。次第にお酢がとろみを帯びてくるために、鶏胸肉全体に纏わせるようにしていく。

 お好みで、一味唐辛子などを上から振りかけると良いだろう。

 そうして綺麗に皿に盛りつけ、「鶏胸肉のお酢の照り焼き」、完成。

 そして時を同じくして炊飯器も炊けた合図として、電子的なきらきら星を奏でる。適当なボールに水を入れ、しゃもじをその中に入れておく。

 炊飯器の音と香りで目が覚めたのか、一二三がゆっくりと起き上がる。

「む……喜多川、朝食ができたのか……?」

「いやまだもう少しかな、待っててね」

 寝ぼけ眼かつ少し寝ぐせの付いた一二三はその真吾の言葉を聞くと、再びソファに倒れこむ。どうやら朝に相当弱いらしい。年相応の部分が見えて少しほっとした瞬間だった。

 真吾はその間に軽く味噌汁を作ってしまう。同じく冷蔵庫内にあった絹豆腐と、卵二つ。それと韮を一束用意。そして和風だし入り味噌。それらをまな板の上一か所において、調理を再開する。

 少し小さめの鍋に水を適量入れ、火をつけ少し待ち、沸騰させる。そこに味噌を溶き入れて、濃すぎないか、味を確認する。今回も上出来で、味噌の味をしっかりと感じることのできる丁度いい濃さの味だった。

 そしてそこに、あらかじめ切っておいた絹豆腐と韮を静かに、形が崩れないように入れる。形が崩れてほしくない、なら木綿豆腐もありではあるが、そこは人の好みもある。

 またあらかじめ溶いておいた卵を静かに流しいれて、卵が固まらないように少しだけ火をかければ完成。

 これで今日の朝食が完成、である。

 朝食がようやくできたために一二三を起こそうとする。しかし。

「一二三ちゃん、朝ごはんできたよ、起きないと冷めちゃうよ」

「うにゅ……あと五分……」

 なんかお決まりかのようなことを言われた気がするが、折角の朝食が冷めてしまうのももったいない。

「ほら、起きないと本当に冷めちゃうから」

 完全な寝ぼけ眼の一二三は、かろうじて体を起こして座っているものの、まだ眠りの世界に片足を突っ込んだままだった。

 二つの茶碗に米を、そして二つのお椀に味噌汁をよそい、箸も二膳用意して、一二三の前にてきぱきと出す。

 皿に盛りつけた鶏胸肉のお酢の照り焼きも出し、真吾は向かいのソファに座って静かに、そして一二三は寝ぼけ眼のまま、「いただきます」と言って朝食を食べ始める。

 一口食べた途端に、一二三の表情が変わった。

 決してそれはまずいものを食べさせられている苦痛の表情ではない。寝ぼけ眼も一気に開くほどに、ぱあっと笑顔になってもりもりと食べ始めた。

 その様子を見て、料理を作る側の快感はここにあるのだと、再認識した瞬間だった。

 ずっと一人きりだった食卓が、明るくなった瞬間でもあった。


「ふ、ふん。料理は中々にできるようだな?」

 あれだけ笑顔で朝食を食べて、片付けの時の真吾の笑顔に気付いたのか、少しつっけんどんな態度をとっていた。しかし、今となっては何となく取り繕っているのだなあと思えて仕方がない。

 万が一に、あの笑顔が作りものなのだとしたら、真吾は今後一生人間不信に陥ることだろう。それほどの、太陽の様な輝かしい笑顔なのだ。

 昨日の気分の落ち込みが嘘のように晴れ、朝から真吾は笑顔のままだった。

「なんだ喜多川! 私を馬鹿にしているのか!?」

「いや馬鹿にはしてないよ。ただ自然な笑顔だったな、と思ってさ」

 そう真吾が言っても、一二三の表情は変わることがない。寧ろ、恥ずかしさによって顔がどんどん真っ赤になっている。

「うるさいぞ喜多川! 馬鹿の癖に!」

「馬鹿ってのは言わないお約束にしてくれよ……」

 少しばかり凹みながらも、騒がしくもおかしい朝食の時間が楽しく過ぎていく。誰かが一緒の食卓に同居しているのは、郷馬組全員で囲んだ食卓以来だろうか。

 文司の話によると、真吾はまだ生まれたばかりの時に、郷馬組の前に「育ててください」と、置かれていた子供だったらしい。

 本当の親を知らないものの、真吾は郷馬組、そしてその文司から様々なことを学んだ。

 こういった食卓の温かさ、そして人の温かさ。

「……やっぱり、こうして食卓を誰かと囲むと、いいものだね」

 真吾と一二三の雰囲気は、少し前まで冷たかった真吾の事務所をじんわりと温かくしていった。今までの真吾の心の靄が、少しではあるものの晴れていくようであった。

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