時間割

「俺達は時間に縛られて生きている」


パック詰めの携帯食料を飲みながら、アランは熱弁した。


「分単位で行動を決められて、その通りにしか活動できない」

「それは仕方がない」


クリスはアランの私語をたしなめるように言った。


「この宇宙時代は危険と隣り合わせだ。少人数の勝手な行動が、人類の全滅を導かないとも限らない。僕達は何時に起き、何時に食事し、何時に働き、何時に寝るか、すべて管理されるべきだ」

「いや俺はそうは思わない。クリス、お前は神を信じるか?」

「神? 旧時代の妄想だろう、突然どうしたんだ」

「そう、妄想だ。かつて人類は、自分たちが神に支配されていると考えていた。だが違った」


今の時代、もはや神を信じる者はいない。宇宙に神などいなかったからだ。


「それと同じことだ。俺達は最高政府に支配されていると考えている。いや支配されるべきだと考えている。だが本当にそうか? 神がそうであったように、あいつらにも、従う必要はないのではないか?」


クリスはアランの言葉に動揺した。


「俺達に、時間割なんて必要なのか? 人類は自由なんじゃないだろうか」


アランの説得に、クリスは折れた。


やがて二人は、他の市民も説得し、革命軍を立ち上げた。

最高政府を討ち滅ぼし、ついに自由を勝ち取った。


人類は自由自在に宇宙を飛び回り、自分の意思で、自分の時間を使い始めたのだ。



宇宙外からそれを見て、神は言った。


「人類はこれから300年の自由時間か。よし、時間割通りだな」

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