第18話絶対的な支配者
樹達は授業を終えて屋上へと向かった。
「言った通り来てくれたみたいね」
「来ない理由がありませんからね」
千鶴は笑顔でそう言った、
「ここまで呼び出すってことは、人前じゃ言えない話なのか?」
樹は少し疑問に思いながらそう聞いた。
「うん、その通りよ」
「本当だったらこんな話生徒のあなた達に話すようなことじゃないんだけどね」
「でも、校内成績2位の千鶴と校内成績1位の樹くんぐらいにしか頼めないのよ」
「それで話というのは?」
千鶴は樹の1歩前に出てそういった。
「実はこの学校の理事長は、私のお父さんなの」
「え!そうだったんですか!」
千鶴は目を丸くし口を手で隠すような動作をして、驚いていた。
「でもあたくし理事長と1回もお会いしたことないです」
「俺もないな」
「でもそれがここに呼び出したことと関係あるのか?」
「私の父の名は赤身屋金次郎」
「自分で立てた学校のはずなのに創立以来1回も学校に来てないのよ」
「それどころか、あの人お金が大好きすぎて、ABクラスの学費だけ極端に高くしたのよ」
「それで樹くん達にお願いなんだけどABクラスとの差別化をなくしてほしいのお願い、この通り」
赤身屋は顔の前で両手を合わせて、そういった。
「悪いが赤身屋がそこまでこだわる理由って何なんだ、ただ、差別化を無くしたいって訳でもなさそうだが?」
「私の友達はあいつのせいでこの学校を無理矢理辞めさせられたのよ!」
「何か事件があったんですか?」
千鶴は恐る恐るそう聞いた。
「その子はあの人に差別のことを訴えたんだけど、その子はその日、退学になったのよ」
「あの人はお金の力にものを言わせて邪魔なものを次々排除していったの!」
「その結果、ほとんどの先生たちはあの人に意見するのが怖くなって何も言えなくなっちゃったの」
「今の先生達はまるであの人の奴隷のよう」
「でもそうだとしたら俺たちにこのことを頼むのは間違えじゃないのか?」
「俺達は松井くんの騒動で顔が割れてるだろうし」
「でもこの状況を何とかしないと、あなた達もいずれ退学になるわよ!」
「なぜそう言い切れる、何か証拠でもあるのか?」
「あの人が大騒動を起こした人を野放しにしておくとも考えにくいし」
「そしてさらにあなた達が起こした行動は、学校にとってイメージダウンに繋がる行動だったから、なおさら、あの人のターゲットになってる可能性が高い」
樹はその言葉を聞いてずっと疑問に思っていたことが確信へと変わった。
そうか!樹くんのいじめの会議の時、俺が資格を持っているといっただけで主任の先生が引き下がったのはあそこにいる先生達じゃ判断できなかったからか。
全ての決定権は多分理事長にあったんだろうな。
「わかった、引き受ける」
「ですが、お兄様あたくし達はこの学校の理事長について何も知らないんですよ!」
「わかってるよ、ちゃんと情報収集をして作戦を立てるつもりだ」
「そういうことでしたら、あたくしも喜んでお手伝いいたします」
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