第16話新しい仲間

「今日から1人このクラスに移動してきた生徒がいる」


「おい、もう中に入ってきていいぞ」


「はい」


樹達は廊下から聞こえてくる声がどこかで聞き覚えのあるような声だなぁと思っていた。


樹達は中に入ってきた生徒を思わず凝視してしまった。


中に入ってきたのは松井だった。


「とりあえず、みんなに自己紹介をしてくれ」


「はい」


松井は先生にそう返事をしてチョークを手に取り黒板に自分の名前を書き連ねていった。


「僕の名前は松井陸斗です」


「皆さん、これからよろしくお願いします」


松井は爽やかな笑顔でそういった。


そして、周りの生徒たちは松井に向かって拍手をした。


「それじゃあ、松井の席は……」


先生は少し悩んだ様子で周りを見渡した。


千鶴はその時先生と目が合った。



「それじゃあ、松井は千鶴の隣の席に座れ」


「分かりました」


松井はそう返事をして千鶴の隣の席の椅子を引いて座った。


そして1時間目のホームルームが終わり、樹達はすぐ隣にいる松井に声をかけた。


「松井くん、どうしていきなりこのクラスに移動してきたんですか!」


千鶴は授業中ずっと我慢していたことを勢いよく口に出した。


「落ち着いてください、ちゃんと説明しますから」


松井は千鶴をなだめるようにそういった。


千鶴は落ち着いて周りを見てみると、周りの視線が千鶴に集まっていた。


「あっ!すいません、少し取り乱してしまいました」


千鶴は頬を赤らめながらそういった。


「僕はここに来るまでの1ヶ月猛勉強をして、このクラスに来たんです」


「そっか、それはよかった」


樹は笑顔でそういった。


「なになに、何を話してるの?」



樹達がそんなことを喋っていると少し遠くに立っていた女子生徒が距離を詰めながらそういった。


そして樹達はその女子生徒に今まで会ったことを話した。


「へーまさかとは思ったけど、あなたがあの噂の松井くんだったのね」


「あ!私の自己紹介をしてなかったわね私の名前は赤身屋皐あかみやさつきこれからよろしく」


赤身屋はそう言いながら松井に手を差し出した。


「こちらこそ」



松井はそう言いながら赤身屋の手を取り、握手を交わした。


「それにしても、その噂、だいぶ前からみんな話してるな」


樹は思い出したように、そういった。


「何言ってんの!樹と千鶴なんてこの学校の英雄だって言われてるじゃない」


「えっ!そうなんですか!」


千鶴は驚いた顔でそう言った。


「そうよ、知らなかったの?」


「はい」


「ABクラスを救った二人の英雄この噂はもはやこの学校の中で知らない人はいないぐらいよ」


「いつの間にかそんな噂が立っていたのか」


樹は噂が広まる早さに驚きを隠せなかった。


「そろそろ次の授業が始まるから、また後でゆっくり話しましょう」


赤身屋はそういった後、自分の席へと戻っていった。


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〖最後まで読んでいただき、ありがとうございました〗

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