第12話証拠


2日後。


樹達はいつものようにベルモンドの車で送ってもらっていた。


「いってらっしゃいませ、樹様千鶴様」


「ああ、ありがとう、ベルモンド、それじゃあ行ってくるよ」


樹達は学校の中に入っていった。


樹達はいつもと同じように教室へと向かい、授業を受けた。


そして、あっという間に時間が過ぎお昼休みになった。


樹達はまた、屋上でお昼ごはんを食べようと廊下を歩いていた。


すると少しうつむいた様子で松井が樹達の方に向かって歩いてきた。


そして松井の体が少し樹達にぶつかった。


「あっ!すいません」


松井は少し頭を下げながらそういった、


千鶴は少し松井の手の方に視線を向けた。


松井の手は酷く震えていた。


千鶴はその手の震えを見て悟った。


間違えない!松井くんは今からまたあの3人に会いに行くんだ。


頭の中では行きたくないって思っててもどうしても行かないとまた怖いことをされるって思ってるからこうして体が拒否してるんだ。


「僕は行かなきゃいけないところがあるので、これで失礼します」


「ちょっと待ってくれ」


樹はそう言って松井の肩を掴んだ。


「お守りにこれを持っててくれ」


樹はそう言って右ポケットからこの前作っていた、てんとう虫の機械を渡した。


樹はその機械の説明をあえて松井にはしなかった。


松井に説明したら受け取ってもらえないと思ったからだ。


「それじゃあ、ありがたく受け取っておきます」


松井はそういった後、階段を上っていった。


「千鶴隠れるぞ!


樹達は松井にバレないように階段がちょうど見える位置に隠れた。


「きたぞ、あの3人だ」


樹は小さな声でそう言った。


「お前、今日もちゃんと持ってきたか?」


「もうこれで最後にしてください」


松井はそう言いながら3人に、3万円を手渡した。


「ああ!お前、俺たちにそんなこと言える立場じゃねーだろ!」


3人はそう言いながら松井に向かって強く殴ったり蹴ったりしていた。


近くを通る生徒は見て見ぬふりをして早足で通り過ぎていった。


千鶴はそれを見ているのに耐えられず、飛び出して行こうとしたが。


樹は千鶴の肩を掴んで駄目だと言わんばかりに無言で首を振る。


「どうしてですか、お兄様、早く止めてあげないと!」


「ここで止めたらちゃんとした証拠が取れないかもしれないんだ」


「それに今ここでいじめを止めたら松井くんの頑張りが水の泡になるんだ!」


「だから頼む、千鶴今はどうか耐えてくれ!」


「分かりました」


しばらくすると殴っていた音は収まり、てんとう虫の機会が樹の方に向かって飛んできた。


樹はてんとう虫の機会をつかみ少しほっとした表情を顔に浮かべた。


「よし、これで証拠は揃った」

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