第11話思い出
カルビンは右手を上げながらそういった。
「カルビンさんはお兄様と、どうやって出会ったんですか?」
「私が樹様と出会ったのは」
「まだ私がメイドの仕事を初めて、間もない頃でした」
「私の店に樹様が来てメイドの契約の相談をされていました」
「全くお前は相変わらず使えないやつだな!!!」
「その時ちょうど私は社長からいじめを受けていてそれを見た樹様は社長にこう言い放ちました」
「そんなに、その方をここに置いておくのが嫌なんだったら、俺がその方と契約しますよ」
「私にとってお客様の前であたり散らされながら怒られるのは、もはや日常茶飯事でした」
「ですが、樹様からその言葉を聞いた瞬間、心の重りがすーと取れていったような気がしたんです」
「そして、樹様は私と契約をして」
「私はこの家に来たというわけです」
「みなさん、なんというか、お兄様との出会い方すごいですね」
千鶴は驚いた表情でそういった。
「それじゃあ、最後ベルモンドさんお願いします」
千鶴がベルモンドにそういった。
「分かりました」
「私は元々結構大きめの病院で働いてたんですけど」
「そこで一緒に働いていた仲間が手術ミスをしてしまいまして」
「私はその罪を、なすりつけられてもちろん説明はしたんですけど」
「信じてもらえず、私はその仕事をクビになり」
「私が暇つぶしに図書館に行った日のことでした。樹様と出会ったのは」
「樹様は私のちょうど正面に座っていてため息をついた時」
大丈夫ですか元気なさそうですけど?と声をかけてくれたんです」
「私はその時そのたった一言に救われたんです」
「気がつけば、私は樹様に今まであったことを話していました」
「樹様はこんな赤の他人のおじさんの話を真剣に聞いてくれて私が全て話し終わった後」
「俺のところに来て働いてくれないか?って言ってくれたんです」
「私は喜んでそれを引き受けました」
「へーあたくしが知らない間にお兄様はそんなすごいことをしていたんですね」
千鶴は少し驚いた表情でそういった。
「だから、私達は樹様のことを心から尊敬しているんですよ」
ベルモンドは笑顔でそう言った。
その時、玄関のドアを開ける音が聞こえた。
「ただいま」
聞こえてきたのは、樹の声だった。
「あら!もう夜ご飯の時間ですね」
カルビンは少し時計の方に目を向けながらそういった。
そして千鶴達は樹を迎えに行った。
「千鶴ただいま留守番はどうだった?」
「お陰様で私も面白い話をたくさん聞くことができました」
「そうか、それはよかった」
樹は笑顔でそういった。
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