第82話
翌日、四人は『蓮』に集まり、絵馬を書くために神社に向かった。
俺たちが向かった神社は学業での神様が祭られている有名のところだったので、俺たちと同じ目的の人がたくさんいるようだった。
手に絵馬を持った学生らしき人たちがたくさんいる。
陽彩は昨日言っていた通り、着物を着てきていた。
花火大会の日に着ていた赤い浴衣とはまた違ったものだった。
「この前のやつは違うんだな」
「分かる? そうなの! これもかわいいよね~」
そう言って陽彩は俺に見せつけるように一回転した。
色味は同じような感じだったっが、模様が違った。今回のやつは水色のバラが描かれていた。
「何着持ってるんだ?」
「う~ん。お母さんのだからわかんないけど、結構あると思うよ」
「そうなのか」
「そう言うの好きだからね~」
俺たちはとりあえず、お参りをすることにした。新年が明けてからまだ一度もお参りに行ってなかったからな。
行列に並んで順番が来るのを待つことにした。
三十分くらい並んでいると順番が回ってきた。
お参りが終わると、四人は目的の絵馬を買いに行くことにした。
「絵馬って初めて買った~!」
「なかなか買わないわよね」
「私も初めて買うかも。翼は?」
「俺も初めてだな」
そもそも俺は神様に願掛けみたいなことはあんまりやらないからな。
その絵馬を持って絵馬に願い事書くスペースに移動すると、俺たちは各々に願いを書き始めた。
さて、なんて書くかな。俺は他の人の絵馬を見てみることにした。
そこには、皆、思い思いの願いを書いていた。
『高校受験に合格しますように』
『大学に受かりますように』
『家族が仲直りしますように』
『恋人ができますように』
さすがに、学業で有名な神社ということもあって、大半が学業に関しての物だったが、それ以外のことも書かれていて、見ているだけで楽しかった。だが、人の願いを勝手にみるというのは少しだけ気が引けたが、絵馬とは本来そういうものらしいなので許してほしい。
「翼はなんて書くのー?」
「そうだな。受験のことを書いてもなー」
「そのために来たのに、別のことを書こうとしてるの?」
陽彩はクスクスと笑った。
「そういう、陽彩はなんて書くんだ?」
「私は、これ」
そう言って見せてくれた陽彩の絵馬にはこう書かれていた。
『大学に合格した後もずっと翼と一緒にいれますように』
その絵馬を見た俺はどう反応していいのか分からなかった。だが、俺が絵馬に書くことは決まった。
「じゃあ、俺はこうかな」
絵馬にペンを走らせる。
「なんて書いたのー?」
その絵馬を覗き込むように陽彩が顔を近づけてくる。
『陽彩と一緒にお店をできますように』
「結局、受験とは関係ないこと書いたんだね。でも、嬉しい!」
「俺にとっては受験よりもこっちの方が大事だからな」
「その願い絶対に叶えようね」
「そうだな」
「ちょっと、お二人さん。そんなに熱いと周りの雪が解けちゃいそうなんだけど」
いつの間にか後ろに立っていた有川と雛形がニヤニヤと笑っていた。
俺はそんな二人を無視して、絵馬をかけに行った。
陽彩は顔を真っ赤にして二人の前を歩いて俺のところまでやってくると、俺の隣り自分の絵馬をかけた。
夢を叶えるのは自分がどれだけ頑張ったかだと思ているが、たまにはこういうのもいいのかもな。
目の前に俺の絵馬と陽彩の絵馬が寄り添うように並んでいた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここまで読んでいただきありがとうございます!
【フォロー】【いいね】【☆】いつもありがとうございます。
読者の皆様の応援が書くモチベーションになります!
基本的に作者が読みたいものを書いてるだけなので温かい目線で読んでいただけると嬉しいです。
Twitterもしてるのでよかったらフォローお願いします!。
【@kuga_kakuyomu】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます