第81話 【受験のチョコレート】

 大学受験まで残り一週間になろうとしていた。

 ほとんどの学生がラストスパートに入っているのではないだろうか。

 俺と陽彩も最後の詰めに入っていた。

 

「いい感じだな」

「うん。本番でミスしなかったら、多分大丈夫だと思う」


 俺と陽彩は受験前最後の模試の結果を見ながら『蓮』で反省会をしていた。『蓮』の手伝いは休みにしてもらているので、俺たちはお客としてお店に訪れて蓮夜のスイーツを食べながらの反省会となった。


「二人はどうだった?」

「私は、A判定」

「私も~!」


 ちなみに、有川と雛形も一緒だった。

 二人も志望の大学でA判定をもらったらしい。

 それは素直に嬉しいな。なんだかんだ、この二人とも一緒にいる時間は長いからな。


「翼はどうだったの? て、聞くまでもないか」

「まあ、そうだな」

「さすが、つー君だね~」


 雛形はそう言いながら頬いっぱいにパンケーキを一口食べた。


「ところでさ、受験の前に絵馬書きに行かない?」

「いいわね。行きましょう」

「いいね~! 行こうよ~!」

「翼も行くよね?」

「そうだな。行くか」

「じゃあ、明日にしよう。早い方がいいしね」

 

 ということで、明日、神社に行って絵馬を書くことになった。

 この時期は全国の学生が絵馬を書きにこぞって神社に行くんだろうな。神頼みをしてでも受かりたいと思うのはみんな同じなのだろう。自分の行きたい学校に行けるかどうかで人生は大きく変わるからな。受験というのはそれほど大事な一大イベントということだ。そりゃあ、神頼みをしたくなるってもんだ。


「じゃあ、私たちは帰るね」

「また、明日ね~」

「二人ともまた明日ね」


 パンケーキを食べ終えた二人が帰っていった。

 

「明日、どうしよう。着物着ようかな~」

「そういえば、初詣まだ行ってなかったな」

「そういえば、そうだね」

「陽彩はおみくじとか引くのか?」

「もちろんだよ! 翼は?」

「俺はあんまり引かないかな」

「そうなんだ。なんで?」

「そういうのにあんまり興味がないからかな」

「え〜。そうなの!? じゃあ、明日は引こうよ〜!」

 

 なぜか陽彩は瞳をキラキラとさせてそう言った。


「なんだか、嬉しそうだな」

「だって、おみくじってロマンがあるじゃん!」

「そうか?」

「うん! 何吉か引くまでわからない。なんだか、人生みたいじゃない?」

「どういう風に?」

「ほら、人生も自分が選ぶまでどんな未来になるかわからないじゃん。それとおみくじが似てるなって」


 陽彩の言っていることはよくわからなかったけど、自分で選ぶまで未来が分からないっていうのは、ちょっとだけ分かる気がする。

 未来は今の自分が選んだ洗濯の連続によって出来上がっていくものだからな。違う選択をすれば違った未来が訪れることだってある。

 陽彩と出会わなかった未来だって、陽彩と仲良くならなかった未来だってあったかもしれない。そう思うと俺は正解の選択肢を選び続けてきたってことだな。

 俺は過去の自分に感謝をするのであった。


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