第83話
いよいよ受験当日となった。
俺と陽彩は受ける大学が別々なので、試験を受ける会場も別々だった。
「行くか」
「そうだね」
陽彩は緊張している様子だった。それは同じことで手汗が半端なかった。緊張なんてしないと思っていたが、いざ当日になるとやっぱり緊張するものだ。
会場が別々とはいえ、途中までは電車が一緒だったので、少し早めに『蓮』に集まって一緒の電車に乗って行くことにしていた。
「翼、手、繋いでもいい?」
「……いいけど、手汗すごいぞ」
「……気にしない」
陽彩はそう言うと俺の手に自分の手を絡ませてきた。
恋人繋ぎ。別にそれはいいんだが、受験の緊張とは別のドキドキが俺を襲ってきてやばい。この調子で今日の受験を乗り切ることができるのだろうか。
俺は少しだけ不安になった。
「緊張してるか?」
「してるよ。翼だってしてるでしょ?」
「してるな」
「この電車に乗ってる受験生で緊張してない人なんてほとんどいないと思うよ」
電車にを見渡してみれば、手に参考書や英語の単語帳を持った受験生らしい人がちらほらといた。
「それもそうだな」
「でも、今こうして翼と手を繋いでるから、なんだか大丈夫な気がする」
「そっか。なら、もっと頑張れるものを陽彩にやるよ」
「何?」
俺はカバンからこの日のために作っておいたチョコレートを取り出した。
「頭が疲れたら食べてくれ」
「チョコレートだ! ありがと!」
電車が止まって陽彩が受験する最寄りの駅に到着した。
陽彩が俺に抱き着いてきた。
「じゃあ、行ってくるね。翼も頑張ってね。また、あとでね」
「ああ、またあとでな」
陽彩と別れると俺は深呼吸をした。
大丈夫、いつも通りの実力を出せば無事に合格できるはず。
電車が俺の受験する大学の最寄り駅に到着した。
俺は電車を降りて足を一歩ずつ確実に進めていった。
今日が夢を叶えるための第一歩になるだろう。
これから先に訪れる未来は一体どんなものになっているのだろうか。それを考えると、少し不安になる時もあるが、それよりも何倍もの期待感が胸を埋め尽くしていた。
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