第55話

 ご飯を食べ終えると俺たちは部屋に戻った。

 そのころにはすっかりと空は暗くなっていた。


「見て、見て、星がきれいだよ~」


 陽彩が部屋の窓を開けて夜空を眺めていた。

 俺もそばまで行って夜空を眺めた。陽彩の言う通り、そこから見る夜空は星がたくさん輝いていて綺麗だった。さすが、山の中にあるから、あたりにあんまり明かりがなくて星がよく見える。


「ほんとだ。綺麗だな」


 同じ県にいるのに、場所によってこんなにも星の見え方が変わるもんなんだな。


「また、来たいね」

「そうだな。また来ような」

「さて、寝よっか。明日も『蓮』の手伝いだ~」

「ほんとにいつも助かってます」

「私の方こそ、誘ってくれてありがと。翼が誘ってくれなかったら、きっと私はこんなに人生充実してなかったと思う」

「そうか? 陽彩なら、どんな人生を送ってても充実してると思うぞ」

「そんなことないよ。私なんてそんなに立派な人間じゃないし」

「陽彩は立派な人間だと思うけどな。何なら、陽彩いいところ言ってやろうか?」

「や、やめて。恥ずかしい!」


 陽彩はそう言うとベッドに飛び込んで枕で顔を隠してしまった。

 まったく、そんな仕草もかわいいな。陽彩は自分で思ってるよりも立派な人間だよ。俺はそれをちゃんと知ってるから。

 俺は、陽彩のベッドに座った。

 もっと自分に自信を持ってもいいと思うぞ。

 俺はそう思いながら、陽彩の頭を撫でた。ほんのりとシャンプーの匂いが漂ってきた。


「それ、好き。もっとやって」


 陽彩が俺の腿に頭をのせてきて甘えてきた。そんな陽彩の頭を俺は撫で続けた。しばらく続けてると、陽彩は気持ちよさそうな寝息を立てて眠ってしまった。

 寝顔もかわいいな。俺は陽彩の頬に軽くキスをした。


「おやすみ。陽彩」

 

 俺は、陽彩を抱きかかえてベッドに寝かせると自分のベッドに入って眠りについた。

 



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ここまで読んでいただきありがとうございます! 


 温泉編は次回で最後になります。

 星空って見る場所によって輝き方が違うから不思議ですよね。作者は星空を見るのが好きです。


新作ラブコメ「隣のシングルマザーに恋をして」を不定期で更新していくつもりです。

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