第30話
「つーくんからデートに誘われたーーーーーー!?」
「ちょっと、愛理声が大きいよ」
放課後、今日は三人でカフェにやってきてた。ここは、最近できたばかりで女子高生の間で話題になっているカフェだった。パンケーキがここのおすすめメニューらしい。
私たちは三枚重ねになったパンケーキを注文して、三人で分けようということになった。
「だって、それって、もうひーちゃんのこと好きって言ってるようなもんじゃん!」
「それは、分かんない。翼はそんなつもりないかもしれないし」
「で、どうしてそんな話になったの?」
「それが……」
私は昼休憩に翼から聞いたことを二人に話した。
「なるほどね。それは寂しくなるわね」
「でしょ。なんで、一週間前に言うのって感じ。心の準備ができてない」
「まあ、でも応援してあげなさいよ」
「もちろん、全力で応援するつもりだよ。でも、もう少し前に聞きたかったなと思って。そしたら、もっと遊びに誘ったのに……」
注文していたパンケーキが運ばれてきた。イチゴのソースと、生クリームがたっぷりの美味しそうなパンケーキだった。
「でも、獅戸君から遊びに誘ってもらって嬉しいんでしょ?」
「そ、そりゃあ……」
「ん-。このパンケーキ美味しいよー」
愛理は私たちの話よりもパンケーキのほうが大事らしい。美味しそうにパンケーキを頬張っていた。
私も、パンケーキを一枚自分の取り皿にとって、食べた。
「美味しいね。でも……」
物足りなかった。翼の作るスイーツには全然かなわない。
「ひーちゃん。悩むことなんてないよー。人生はまだまだ続くんだからー。これから何度でも誘えばいいんだよー。そのチャンスはたくさんあるのだ。なんてたって、来週から夏休みだからね!」
愛理はパンケーキを食べていたフォークを渡しに向けてそう言った。そうだよね。来週から夏休みだもんね。私たちの学校の夏休みは一ヶ月弱。最初の二週間は海外にいて会えないけど、後半の二週間は日本にいるんだもんね。それに、私は翼のご両親のお店でバイトをしてるんだし、会う機会はたくさんあるんだもんね。
「愛理の言うとおりね。夏休みの後半には花火大会もあるし。海とかに誘うのもいいかもね」
「そうだね。ずっと会えないわけじゃないんだもんね」
花火大会か。翼を誘ったら一緒に行ってくれるのだろうか。
「つーくんと会えない時は私たちと遊ぼうよー。そしたら、寂しくなんかないよ!」
「そうだね。バイトがない日は遊ぼうか」
「そうね。私も二人と夏休みを一緒に過ごして、たくさん写真撮りたいし」
「つーくんが嫉妬しちゃうくらい楽しむぞ~」
「嫉妬って……」
私はおかしくてクスクスと笑った。
やっぱり、この二人と一緒にいると楽しいな。高校を卒業してもこうやって三人で集まれたらいいな。
そんなことを思いながら、パンケーキを口にした。そして、やっぱり翼のスイーツが一番おいしいと思ったのであった。
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