第3話
飲み会はつまらないまま終了。二次会もあったらしいけど当然俺は断って家に帰ってきた。
お持ち帰りなんて物はただの都市伝説でしか無いんだと思う。
いや、A達は二次会でそういう事してるんだと思うけどね。
それを思うと家に帰宅して、普段飲まない酒で酔っ払ってベッドで寝転がってる自分が惨めだし、何ともいえない悲しい気持ちだった。
でも、そこは人間だからさ。酒の影響やAに見せられたエッチな写真のせいなんだろうね。
Aが使ってたっていうマッチングアプリを見てみようかなって思った。
もしかしたら自分みたいな人間でも好きになってくれるような人だっているかもしれないってさ。
まぁそんなのは幻想でしか無かったんだけど。
とにかくその時はせっかく登録したアプリだし、ちょっと見てみる位ならいいんじゃないかって思ったんだ。
早速起動させてみるとそこには可愛い女の子の写真があった。
まさにイン○タ映えって感じ。
イン○タが何かよく解ってない俺が言うのもなんだけど、とにかく可愛い子ばかりだった。
当然こんな子とつきあえたらいいなって右にスワイプした。
右は気に入った子に対してする選択だね。
その後たくさんスワイプしてみたけど、結局誰ともマッチしなかった。
もしかしたら、なんていう希望は完全に幻だとしって、がっかりしたんだ。
イライラしてがっかりして、半ば自棄になってどんどんスワイプしていった。
そうしたらいきなり変なポーンという音と共に画面が動かなくなった。
びっくりして画面を見てみたら、そこに表示されているのはどういう訳かAだった。
それはふざけながら綿飴にかじりつこうとしているAを横から撮影した写真。
多分お祭りか何かなんだろう、たくさん並んだ屋台と浴衣を着た人がたくさん映っていた。
さっきアプリの説明をするときにAが見せてきた物と全く同じ写真だったから間違えるはずが無い。
だからこれはAのアカウントなんだって事は解ってるんだけど、俺のアプリでAが表示されるはずが無いんだ。
設定上、男を表示するか、女を表示するかは選べるようになってるし当然女性しか表示しないように設定してるからさ。
もしかしたらあの時のそういう説明も全て嘘でこれはAのいたずらかもしれないとも思った。
例えば必死になってスワイプしている俺の映像をフロントカメラが勝手に起動して撮影してAに送りつけてる、とか。
そういうスパイ系ジョークアプリである可能性だとかね。
考えすぎなのは解るけどさ、今現在二次会で馬鹿にされてるんじゃ無いかみたいな想像も一瞬だけしてしまった。
なんだか全てがばかばかしくなって俺はAのプロフィールを左に、つまり「気に入らない」を選択した。
けど次に表示されたのはどういうわけかまたAの写真だった。
さっきと同じ、綿飴を横から大口あけてかじりつこうとした写真。
バグだと思った。
正直こういうアプリで女の子とやりまくってるAにもむかついてたし連続で何度も左へスワイプした。
でもやっぱりAが表示されたままだった。意味がわからない。
バグから抜け出すためにどうすればいいんだろうと思って今度は右にスワイプした。またAだった。
意味がわからずいらついて何度もスワイプした。
右に左にどんどんと。
それでもAは消えない。
ずっと表示されている。
そしてふと画面に違和感を覚えた。
……これ、もしかして同じ写真じゃあ無いのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます