0000日目 招待
自分の名を叫んでしばらく呆けていた後、
妙な感触が体に伝わりだした。液体が
全身に纏わりつくかの様な、妙な感触。
おかしいな。服はしっかり着ている状況で
ありえない。再度視線を下ろせばやはり、
成長を迎え始め膨らみつつある胸を覆う
灰色の混じった白い制服と、白い空間に
赤く灯るリボンが目に映る。
しかし服が目に映るのとは反対に、その液体
が目に見えないのだ。ただ真っ白なだけなのか、完全な透明なのか、それすら謎である。
まず、この状態で歩けるのか?行動を起こすのも手かもしれない。よし、
「う…ヴッ………!!!?」
歩くことは愚か、途端に、息が出来なく
なってしまった。体の機能が全て停止した
かのように、時がピタリと止まったかの
ように、何も出来ない。急に何もできなく
なってしまった。いや、いつのまにか既に出来なくなっていたのかもしれない。
「ナゼ…?」
声にならない声が出る。果たしてこれは人間が放つ事のできる声なのかと思うほど、
高く、細く、掠れた声。
『ナゼカ…?』
ついに声が聞こえなくなってしまった。
グラリと頭が揺れる。先ほどにはなかった
脳の揺れ。あれ、声?これは、私の声…?
『コタエヲ、シッテイル…』
グラリ、グラリ…。やはり違う!声を発してなどいない!!!
『メ…トジ……コロ…サンビ…ウ』
グラ、グラ、グワン…。かすかにしか
聞こえない。だが何を言っていたのかわかった気がする。………………誰が?
『
1…2……3。
ぱっ、と。目の前のすべての白が黒に変わる。
「うわああ!!!」
しかしながら、一瞬で眩しいような白が闇に閉ざされた。ブラックアウトとかいうレベルじゃない。だか動揺して声を挙げることができたということは、さっきの首を絞められるような現象は消え去ったということでいいだろう。それはともかく…
…黒しか見えないの、怖。
出られぬ夢幻空間 ゆっくりしたいバナナ(13) @Peace5102
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