1ツ目の書 解放

この部屋ブラック・キューブにまた、響き渡るひとつの音。

何者かがホワイト・キューブへ訪問する時の、スマホの着信音のような電子音。そうしてその音の方向へ、飛ぶ。

そして目の前に大きな壁。

「まだ誰かが…」

そして僕は、目の前のブラック・サイドを視認する。

そこに書かれた真っ白な文字は光を帯びて

解読するために空間を飛び続ける。

左上から、右下端まで、ゆっくりと。

この仕事が憂鬱だと思いつつも、人の

思い、欲望、気持ち。それら全てを

読み取ることもできるこの仕事が

ものすごく好きだった。案外真っ暗なこの空間も慣れてしまえば苦じゃないし。

「……………ふむふむ」

なかなか面白そうなやつだ。

大きな夢を持ち、自分の世界を持ち、

今も理想を膨らまし続ける。名前の通りな

、そんな面白い奴だった。


そして、解読し終わる。







「こいつならいけるかもしれない」

真っ先に出たのかそれだった。

そう、こいつになら任せていいかもしれないと、そう思った。


…どうして?

それは、やつの性格がこの世界にぴったりであるから。そういうやつだから。


…何に?

…………わからない。なぜか覚えていない。

まず何を任せようとしているのか………


「ともかく…まずこの世界に入ってもらわ

ないと話にならないね。」


そして叫ぶ。闇眼ブラックアイで見てきた、対象者夢望叶と同じように…!

第一章・解放  Level1    リリース

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