No.2 「夢」と「理想」
「……………ん………?」
あの事故の後、私は死んだかと思いつつも
いつのまにかこの世界に来ていた。
目の前はただ真っ白だ。本当に何もない
みたいに、この場所は白に染まっていた。
しかし、顔を真下に向ければ自らの胸が
視認できた。つまり私はこの世界に
立っている状況になる…のだが
全く何も起きないのだ。
音はしない、広さも分からない、むしろ
歩けるのかすらわからない、匂いも
しない、そもそもとして上も下も
分からない、変な予感もしない。
そんな、何もない、意味不明な空間で、
ただぼーっとしている。一言で言えば
そんな状況だった。
『この世界がぱっと、ゲームのような世界に
なったりしないかな…』
いつの間にかわたしは、立ち尽くしたまま
そんなどうでもいいことを考えていた。
何もする気力がないというのに、こういう
ことに関しては頭が働く。不思議で
たまらなかったが、鬱陶しい日常が
繰り返されて妄想にふけることも少なく
なっていた現実。これのように自分の
想像を好きなだけ膨らますことができる時間
は、こんな私にとって一番の楽しみだった。
「例えば、自分は魔法使いで、魔法学校で
学習しつつも世界を救っていって…みたいな感じとかおもしろそうなんだなぁ!」
他にも気にせず大きな声で語る私の脳内に、
[[[[名前ヲ入レテクダサイ]]]]
と。どこかからそんな音声が響いた。
空耳かもしれないが、とりあえず指示に
従おうとする。やっと何かがすすみそう
と思ったからだが、ゲームのように
タッチパネルが用意されてるわけでもない
ため、とりあえず[入れる]の表現が分からない。自分しかいないことを私は再確認し
叫んだ。
「夢望叶ぇぇーーーー!!!」
誰もが耳を塞ぐような声で、叫んだ。
その声は当たりを
*ピコン*と軽い音がした後、消えていった…
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