第30話:報復・エレノア視点

 ロイド殿のお陰でお姉様と仲良くなれました。

 これほどうれしいことはありません。

 ロイド殿は私を大陸連合魔術学院に推薦してくれました。

 イザベルの話ではかなりの権力者だそうです。

 ほぼ確実に学院に入学できるという話です。

 

 これで私はお姉様と一緒に学院で生活する事ができます。

 にわかに信じられない夢のような話です。

 どのような手段を使っても夢を実現させます。

 そして夢を邪魔する人間は誰であろうと許しません。

 しかしそれはこれからの話で、今直ぐどうこうする問題ではありません。


 まず私がしなければいけないのはお姉様誘拐事件の報復です。

 きっちりと報復しておかないと舐められます。

 舐められたら今後も同じ事を仕掛けてくるでしょう。

 またお姉様を誘拐しようとするなど絶対に許せません。

 私の全力を使って報復します。

 もう二度と同じ事をしようと思えないくらいの眼にあわせてやります。

 真似しようと思うモノが絶対に現れないほどの報復をしてやります。


「転移魔術でキングセール王国の王都に送ってあげよう。

 ただし俺がこの魔術を使えることは絶対に秘密にしてくれ。

 姿も気配も臭いも消す隠蔽の魔術をかけるから安心してやってくれ」


 ロイド殿は本当に転移魔術が使えました。

 誰にも気がつかれることがないので、隠蔽魔術も完璧です。

 これほどの方が言われるのなら信じていいのでしょう。

 報復する相手は国王とその手先だけに絞る。

 その人選はロイド殿に一任する。

 少々手緩い気がしますが、仕方がありません。

 

 本当は王城を焼き払う心算でした。

 王城にいる人間は一人残らす焼き殺すつもりでした。

 ですがロイド殿が王城の中には罪のない使用人もいるから止めろと言うのです。

 お姉様を誘拐させるような王に仕えていて、何の罪もないとは言えないと思ったのですが、これほどの魔術が使えるロイド殿が言うのなら、本当に罪のない使用人もいるのかもしれません。


 それにロイド殿はお姉様の誤解を解いてくれた恩人です。

 恩人の言う事を無下にはできません。

 それにチャールズ国王と取り巻きは殺していいと言うのですから我慢します。

 それにお姉様の誘拐に加担した者は拷問で次々と判明しています。

 知っていて反対しなかった者もです。

 全員併せれば既に数百人になっています。

 復讐と周りへの警告とするなら十分な人数なのかもしれません。


 では先ずはお姉様誘拐実行犯から焼き殺してあげます。

 プランケット侯爵家のジェイムズ達からです。

 ロイド殿がチャールズ国王の目の前に転移させてくれますから、それを私が骨も残らないように焼き殺してやります。

 取り巻きを次々と焼き殺してチャールズ国王を恐怖のどん底に落としてやります。

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