第31話:至福・ロイドことローレンス視点
エレノア嬢が至福の笑みを浮かべながらフローラ嬢と並んでいる。
一緒に狩りができるのがよほどうれしいのだろう。
まあ、うれしそうな顔をしているのはエレノア嬢だけではない。
ドロシー嬢とシモン君もうれしそうだ。
狩りの成果で生活が豊かになる事がうれしいのだろう。
ピエール君も美人が増えた事がうれしそうだ。
ただライル君のだらしない笑みは頂けない。
「ライル君、鼻の下を伸ばすのは止めるんだ。
これ以上風紀を乱すようならこのパーティーを追放するよ。
ジェイムズ君達キングセール王家出身の学院生が全員学院を辞めたから、パーティーの再編成をしなければいけないからね、丁度いい機会なんだよ」
「おい、おい、おい、待ってくれよロイド君。
ジェイムズ君達とはクラスも違えば学年も違うじゃないか。
それを無理矢理パーティー再編するなんて無茶だぜ」
「確かにクラスも学年も違うからこのクラスの者は再編成から除外しているよ。
でもライル君が他のパーティーメンバーから嫌われているなら話は別だ。
そのような厭らしい顔で女性メンバーを見るようではね、嫌われるよ。
それにこのパーティーには帝級のエレノア嬢が入った。
色々な所から戦力過多だという苦情も入っている。
ライル君も一応特級金属性魔術士の実力だが、このパーティーでは最弱だ。
他のパーティーに移籍させる場合には一番の候補なのだよ」
「おい、おい、おい、それはおかしいぜ、ロイド君。
戦力過多で他のパーティーから苦情が出ているのなら、後から入って来たエレノア嬢をだすべっ、グッハ」
ライル君は本当のバカだな。
エレノア嬢ほどの実力者が今更学院に来た意味が全く分かっていない。
そもそもこれほどフローラ嬢の側から離れないのを見て何も感じなかったのか。
だから逆鱗に触れるような事を口にして大ケガすることになる。
即死させられなかっただけでも幸運だったな。
これがフローラ嬢の見ていない場所だったら骨も残らずに焼かれているぞ。
「ライル君、君やっぱりパーティー追放ね。
女性からここまで嫌われていてはとても同じパーティーには置いていられないよ。
ドロシー嬢はどう思う、反対かい」
「いえ、賛成です、ロイド君。
お姉さんを慕って学院に入って来た子をお姉さんと違うパーティーに行けなんて、人として絶対に口にしてはいけない事だと思います。
そんな事を口にする、人の心の分からない人と一緒のパーティーは嫌です」
「シモン君はどう思う」
何も言われなくてもライル君の治療をするシモン君にも聞いてみた。
「……僕もドロシー嬢と同意見です。
それに、このままだとライル君がエレノア嬢に殺されるかもしれません。
パーティーを移籍する方がライル君の為です」
「ピエール君はどう思う」
「僕もパーティーをから出すべきだと思います」
「では全員一致だね。
ああ、フローラ嬢は妹のやった事だし、優し過ぎるから発言権なしだ。
当然当事者のエレノア嬢にも発言権はないよ。
僕がこの場で執行導師格として決定するからね。
ライル君はパーティー移籍処分とする」
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