第16話:大金・フローラ視点
「心配するな、今日は俺個人の興味を優先した実験でもある。
それに今日は授業日ではなく休日だ。
だから今までみたいに手出ししないなんてことは言わん。
少しでも危険だと思ったら俺が支援する。
王級魔術も帝級魔術も制限せずに使う。
だから安心して狩りをすればいい」
やはりロイド君は凄いですね。
執行導師格に選ばれるのも当然ですね。
母国のキャンベル王国で帝級魔術が使えるのは妹のエレノアくらいでした。
私は呪文詠唱と結印は完璧でしたが、魔力不足で発動できませんでした。
哀しい事ですが才能なのでは諦めるしかありません。
エレノアは今頃どうしているのでしょうか。
ウィリアム王太子殿下と上手くやっていればいいのですが、少し心配です。
★★★★★★
「うひゃひゃひゃ、これでもう授業料の心配も授業で使う素材の心配もいらない。
在学中は遊んでいられるぜ」
ライルが気持ちの悪い笑い方をしています。
本気で遊んで暮らす心算なのでしょうか。
私はもっと狩りがしてみたいです。
ロイド君の検証では、私でも魔境なら魔力不足にならないようです。
それが本当なら、今までのような劣等感に苛まれなくてすみます。
それを確認するためにも、次の休みの日には魔境に狩りに行きたいです。
「本気で言ってるの、ライル君。
もし本気で言っているのなら、このパーティーから抜けてよね。
私はもっと素材が欲しいしお金も欲しいわ。
私はできるだけ長く学院に残って魔術の研究がしたいのよ。
だけどこれまで私を支援してくれてきた家族には楽をさせたいの。
フローラ嬢と狩りが続けられたらその両方がかなうのよ。
でもライル君が楽をしたいというのなら反対はしないわ。
だけど私の邪魔はしないで、パーティーから出て行って」
ドロシー嬢が真剣です。
とても私が口出しできるような雰囲気ではありません。
それに私も魔境で狩りを続けたいのです。
ドロシー嬢の言うように、ライル君が参加しなければ魔境に入れないのなら、ライル君にパーティーから出て行ってもらいたい気持ちになります。
それにしても、今日狩った魔獣の素材はそんなに大金になるのでしょうか。
「フローラお嬢様、今日狩った素材はパーティーメンバーで分配しても、六人家族の庶民が三十年は遊んで暮らせる金額になります。
貴級の魔獣はそれだけ貴重で高価なのです。
ですが同時に貴級魔術の実験には貴級魔獣の素材が必要になる事があります。
それだけの資金が必要になります。
今ドロシー嬢が上級魔術しか使えないのは、その影響もあるのです」
私の疑問に気がついたのでしょう、イザベルが教えてくれました。
私は魔力の才能はありませんでしたが、とても恵まれた環境にいたのですね。
ここはドロシー嬢の味方をしなければいけませんね。
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