第9話:誘惑
パーティーメンバーが地面からの攻撃を避けるために散開している。
それぞれの護衛が学院生を護っている。
全員が基礎的な武術も学んでいるが、専門の護衛の方が剣速は早い。
弱小魔獣なら護衛にも斃せるが、上級以上の魔獣を武術で斃すのは難しい。
だから魔獣を上級以上の魔獣を斃すためには魔術が必要不可欠だ。
だが魔術の発動にはどうしても時間がかかる。
それを補うために護衛を雇ったりパーティーを組んだりするのだ。
大陸連合魔術学院の本分はあくまでも魔術だった。
武術では斃せない魔獣を斃すために魔術を学んでいるのだ。
信じられる護衛を確保して連携を学ぶのも大切な事だ。
そして学生同士で互いの長所を利用し短所を補う事も大切だった。
入院したばかりのフローラにそれがどこまでできるかだ。
「私が超級を放ちます。
それでも斃せなかった時は中級で抑えて」
フローラは超級木属性魔術を発動状態を維持していた。
それはとても難しい技と精神力を必要とすることだった。
呪文詠唱と結印を完成させて直ぐ魔術を発動させる方が簡単なのだ。
発動状態を維持して放たない事は非常に難しいのだ。
長時間発動状態を維持しておくのは術者に大きな負担をかける。
それを見ているロイドはとても驚き改めてフローラを見直していた。
「「「「「分かった」」」」」
ロイドが心配していたのは地属性魔獣に知恵がある事だった。
フローラが維持している超級木属性魔術の射程外に待機する知恵がある事だった。
だが今回の敵は強力だが知恵はそれほどでもなかったようだ。
フローラの魔力に引き寄せられたのだろう。
勢いよく地面から飛び出してフローラを喰らおうとした。
だがフローラは軽やかに敵の顎を避け必殺の魔術を叩き込んだ。
並の地属性魔獣なら超級木属性魔術で即死している。
だがこの敵の生命力はこの場所に現れる魔獣としては規格外過ぎた。
超級木属性魔術で大きなダメージは受けたものの、即死することなくフローラを喰らおうを再び動き出した。
ここでパーティーメンバーが即座に中級魔術を連射した。
パーティーメンバーはずっとロイドと組んでいた実戦派だ。
フローラに任せて油断するようなボンクラではなかった。
魔獣の意識をフローラから外して動きを止める事に成功した。
だがそのために敵が最も近い場所に居るピエールを喰らおうとした。
「死になさい」
呪文詠唱ができなくなるので言葉にはださないが、フローラがそんな表情で魔術をは放ったが、信じられない強さと速さだった。
フローラが放ったのは貴級木属性魔術だった。
学院で計測したときのフローラの魔力量では絶対発現不可能な魔術だった。
この時ロイドは禁忌を破ってでもフローラの才能を伸ばしたいと強く思った。
「フローラ嬢、僕は魔境で魔術の自主練習をしている。
それを見て覚える気があるかい。
それとも真面目に勉強して執行導師格を目指すかい」
意気揚々と学院に戻ったフローラにロイドが話しかけた。
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