第一章 異世界生活の始まり

第1話 短距離も強い方っちゃ強い

そこは、森の中。

蝴蝶があちこちと飛んでいる。

これが異世界か...。

「やばい初めてだからまじでワクワクする。最初どうすれば....?」

…聞こえてるか?

「ひいっ!なんか誰か喋った」

…アリエルだ。言ったろサポーターだって。

「サポーターとはそいうことか」

頭から天使アリエルの声が響いてくる。

…まず最初に、ここは妖精の森というところだ。


――妖精の森――


…急にゴブリンが出てくるかもしれないから、気をつけて。

「お、おう」

…目の前にある本は短距離魔法の書だ。

魔法の書のページを捲るとよく分からない字がたくさんあった。

「読めない」

…読めないなら、今ググるで翻訳するから待って。

「はああ?お前天使だからわかるんじゃないの?」

使えないサポーターだわ。

どうやらアリエルは異世界語がよく分からないらしい。

…ちょっと待ってスクショして脳に送るからメモしてね。

「わ、わかった」

こいつは天使なのかを疑問に思いながら答える。

「短距離魔法ってこんなに少ないの?」

…短距離魔法はこの世界に転生された人だけが使えるんだよ。

「え?まじで...」

これってまさか、異世界最強とかチートとかそういうやつ?

自分だけが使える魔法だと聞いて興奮で震える。

…ま、お前が使える魔法は1つだけなんだけど。

「......今なんて....?」

…だからお前が使える魔法は1つだけと言ったろ。それ神が作ったやつだから大事に持ってろよ。

「なんで」

…死に方によって強さが変わるんだよ。例えば事故死。異世界最強とかになる奴らだ。お前はあんなくだらない死に方だったから弱いんだよ。

聞いた瞬間、俺は思った。

「事故で死ねば良かった」

…それ言っちゃダメなやつ。

俺はこの話を置いといて、森を探ってみた。

霧であまり前が見えない...。

「あんた、誰?」

背後から誰かの声が聞こえる。

「誰だ?どこだ?」

「見えないのか、ここだ!」

「いやああああああああああああああ!!」

俺の顔の前にフェアリーが現れた。

フェアリーとは、主に妖精と訳される、大概は気まぐれで、羽をもつ非常に小さな人型の姿で登場する存在。

性別は明らかに女だ。

アリエルの言う通りここは、フェアリーが住んでいる森。

フェアリーを見た瞬間少し驚いたが、ここ重要よ。

「めっちゃ可愛い」

…あとはこの子に任せるから、ちょっと私休む。

ありがとうアリエル。

お前はよくわかるやつだ。

「なっ!?何よ。と、とりあえず名前は?」

彼女は顔を赤くして、俺に名前を聞く。

よし!これで最初のヒロインを攻略する。

やっぱり異世界といえばハーレムだ。

こうやって出会う可愛い女達を攻略し、ハーレムを目指す。

これこそが異世界。

「古泉空です。俺も名前を聞きたいです」

俺は顔を赤くして、彼女に名前を聞く。

「私シシー。あんた長い冒険をしてここに来たでしょ?ちょっと来なよ」

俺はシシーについて行った。

森の中に広がる光景を見ると、

「綺麗な森ですね」

落ち着いた顔で言う。

「ここは自然界では1番綺麗なところと呼ばれてるわ。だけどゴブリンやノームが住んでいるから結構辛いのよ。でも結界が貼られているから大丈夫」

「そうなんですね。で、今からどこへ連れて行かれるのですか?」

「私たちフェアリーの街よ。っと、喋ってたら着いた」


――フェアリーの街――


そこは、ツリーハウスが立ち並び、街のど真ん中にある噴水が太陽の光で照らされている、とても綺麗な光景。

フェアリーは小さな人型なのになぜ、ツリーハウスが大きいのか、疑問に思った。

「フェアリーは小さいのに、なんで家は大きんですか?」

「この街に人間が訪れることが多いからだと思う。」

「ちょっと街を見回ります」

「行ってらっしゃい」

あちこちと見回ると売店があったり、ホテルみたいなのが街に並んでいた。

あと、不思議な一本道があった。

一本道を進むと、綺麗な景色が目に映る。

このファンタジー感はいい。

西ら辺に山があり街もある。東ら辺にはなんと不思議、雪が降っていた。山もあったが街は見当たらなかった。

そして北の方は....。

「こんにちは。お一人ですか?」

俺を呼んだ人は、美人で頭に角が履いている。

おそらく鬼だ。

「はい。そちらもお一人ですか?」

「はい。景色を眺めてるんですね」

彼女は俺の隣に腰を下ろす。

「昔話をしたいのですが、いいですか?」

俺に質問をする。

「いいですよ」

「実はこの世界は.....」

彼女の話を聞くと、この世界の歴史がわかった。

昔4人の英雄がここより遠い国で巨大悪魔を討伐しようとしたが、あまりにも差があり、帰国することになった。

帰国した4人は大怪我で帰国したらしい。

その4人の中の1人は、俺の隣に座っている人だった。

俺は驚いた。

巨大悪魔はこの国に引越し、平和だったこの国は巨大悪魔によって闇へと染まった。

その巨大悪魔はこの国の王とその王の娘の城を呪った。

俺は巨大悪魔を絶対に倒すと心に誓った。

「それで頼みがあるのですが、仲間になってくれませんか?」

「はい。是非とも!」

これから始まるのだ。

俺の冒険が。

…ぷッ、すまんその「これから始まるのだ」で笑ってしまった。

「シリアスな空気を壊すなよアリエル!!」

アリエルは俺のかっこいいセリフでくすくすと笑った。

「あの、誰と喋ってるのですか?」

あ、しまった。

…さっきまでずっと監視してました。

「(このいいタイミングで出てくんなよ!)」

小声で文句を言ってやった。

「と、とりあえず。名前を聞いてませんでしたね。私の名前はアードラースヘルム・バルテル・ゲーペルです」

ナガっ?!さすが異世界。

「古泉空です。あと敬語は大丈夫です」

「わかった。ならば君も敬語じゃなくていい」

口調が変わると性格も変わるゲーペル。

「いたいた。話したいことがあるんだけ....ど...」

シシーが俺を探していたようだ。

「なんと美しい」

「あなたも」

百合....。

…これはこれは、百合ですなあ。

この瞬間、嵐の『ラブソウスイート』が流れた感じだった。














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