第31話 レベルアップ

 初めて本格的に狩をするため森に入り、シルバーウルフを消し炭にして倒したら、ファンファーレがなり、レベルが上がったと知らされました。


 これは、いったい、何事でしょうか?


「レベルが上がったと聞こえたのですが?」

「あ、やっぱり。ミハルにも聞こえたんだ!」

「何のことでしょうか?」


「多分、僕のステータスのレベルのことだと思うんだけど、ミハルにも聞こえたのはなぜかな?」

 あれだけ大きなファンファーレが鳴れば、誰でも気が付くと思うのですが、マーサルは何やら確認しているようです。


「確認してみたけど、やっぱり僕のレベルがLv.6に上がっていたよ」

「レベルって、前に話していた、能力値が見られるステータスに関係したやつですよね?」


「そうだね。レベルが上がったことにより、魔力は既にカンストしてたけど、その他の能力値が大幅に上がっているね」

「そうなの……。流石はチート。羨ましいわ――」


「それなんだが、どうも、ミハルもレベルアップしたらしい」

「え? 私にはレベルとかないと思うけど?」


「それが、レベルの説明を見ると、

 ・魔物を倒すと経験値が入り、一定数貯まるとレベルアップする。

 ・パーティで倒した場合、経験値はメンバー全員に分配される。

 と、なっているんだ。

 つまり、僕とパーティを組んでいるミハルにも経験値が入り、経験値が貯まればミハルもレベルアップするということだと思う」


「ということは、私も強くなっているということ?」


「多分。そうだと思うけど……、自覚はない?」

「そう言われれば、体が軽いような――」


 私は試しに、手に持ったグレイブを振ってみます。

「おー。軽々と振れるわ!」


 今まで持て余し気味だったグレイブが、体の一部のように自由に扱えます。

「これならシルバーウルフでも、攻撃を当てられるかも!!」


 ブンブン振り回してみますが、全く疲れを感じません。


「レベルアップって凄いのね! 魔獣を倒せば、もっとレベルが上がるのよね? 早く次を見つけましょう!!」

「レベルアップの効果が実感できてよかったよ。僕も剣の扱いが上達したようだし、次にいこうか」


 私たちは魔獣を探しながら移動します。


 少し移動すると、ホーンラビットを発見しましたが、これは、マーサルがアイスアローの一撃で仕留めました。

 レベルアップを期待したのですが、レベルが上がることはありませんでした。

 魔物の強さにより、得られる経験値は違うようです。

 それに、レベルが高い程、レベルアップに必要な経験値は多くなるそうです。


 その後ホーンラビットを五羽狩ったところで、ファンファーレが鳴り、レベルが一つ上がりました。


 レベルが一つ上がった程度では、体感的に強くなったことを実感しづらいですが、ステータスの数値は上がっているそうです。


 そして、しばらく歩いて、ようやく一頭でいるシルバーウルフを見つけました。

 さあ、先程のリベンジです!!


 私は隠れ身で気配を消し、シルバーウルフに近付くと、グレイブに力を込めて斬りつけます。

 最初の戦いが嘘だったかのように、グレイブの刃は、シルバーウルフの首を切り裂きます。

 シルバーウルフは抵抗することもできずに、そのまま絶命してしまいました。


「やったわ!!」

「一撃とは凄いな――」

「というか、拍子抜けよ! もっと手こずると思っていたから――」


 ここで、ファンファーレがまた鳴り、レベルが一つ上がりました。


「また、レベルが一つ上がったわね」

「これで、Lv.8だな」

「このファンファーレ、周りに人がいないからいいけど、いたらビックリされるわよね――」

「ん? 他の人には聞こえないと思うよ」

「あんなに大きな音だもの聞こえるんじゃないの?」

「あれは、頭の中で鳴っているから、自分以外は聞こえないよ」

「え、そうなの? そう言われれば、そんな気もするわね――」


「だから周りを気にする必要はないんだ。周りを気にし過ぎると、逆に不審に思われるよ」


「もしかして、マーサルには、レベルアップ以外の音も聞こえているの?」

「あははは。まあ、そうだね……」


「何が聞こえているのよ!」

「んー。ないしょ!」

「教えなさいよ!!」

「後でね」


 結局マーサルには詳しく教えてもらえませんでした。


 その後も私たちは魔獣を倒しまくり、Lv.10になったところで狩を切り上げ、ギルドに向かうこととしました。


 ホーンラビット十二羽、ファングボア四頭、シルバーウルフ三頭。

 さて、これだけの数の魔獣。いったいいくらになることやら? 楽しみです!!


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