2020年7月6日 うつしみ
――岩手県 岩泉町 龍泉洞紅葉――
▶浴衣猫耳スパッツのJCマスターがことりに呼びかけてきます
浴衣猫耳スパッツ「ことりちゃーん!!秋夜くーーん!!あなた達に緊急の依頼ーー。英雄様は大変だねー」
秋夜「うっす。また実家関係っすか……?もう勘弁してほしいんすけど」
ことり「まーあ、言っててもしょうがないしね……。今度はどんなのですか?」
浴衣猫耳スパッツ「それが……私にはちょっとわかんないから代わるね。ごめんねーポンコツで」
▶テレビ電話をそのままことりに渡します。花恋が映っていますね
花恋「あっ、もしもし、改めて霧江です。あっ秋夜。えっとね、今大変なの」
花恋「秋夜、覚えてる?昔皐月さんが経営してたお店のさ、稗の銀時計ってお店。なくなっちゃったの」
秋夜「なくなるってなんだ?だいぶ前から閉店してただろ」
花恋「それがね……なくなっちゃったの。なんていうか、土地ごと行けないの。こう、霧みたいなのが出て辿り着けなくなってて、夜叉の人以外はもう覚えてすらないの」
ことり「VSダークライ……」
秋夜「は?うーんわかった。一度こと、ことりちゃんと一緒に朱鷺森に戻るわ。お前は神社じゃなくて博物館の方に先行っといてくれ」
花恋「――――わかった。じゃあ、後でね」
▶テレビ電話が切れます。浴衣猫耳スパッツのマスターが無駄にドヤ顔をしていますね
浴衣猫耳スパッツ「英雄様ぱわーでこの辺は大丈夫だから、気にしないで行ってきて」
秋夜「ありがとうございます。じゃあ行こうか。……ことりちゃん」
ことり 「それじゃあお言葉に甘えて。そうだね、しゅ~~うや!」
秋夜「ごめん……」
――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉――
▶夏水が心底嫌そうな顔をして出迎えてくれますね
夏水「相変わらずくっついてやってくるの何とかならんのか。目に毒すぎるわ」
秋夜「いや、はい……。すんません」
夏水「まあいいよ。ってか花恋がまた凹んでるから後でフォローしてやれよ。人前でイチャイチャするのも程々にしとけよな」
ことり「まあ、はい、それなりで……」
秋夜「うっす……。まあ俺が話しかければ機嫌治ってるんすけどね」
ことり 「な、なんかいつにも増して折れやすくなってない……?大丈夫?」
秋夜「大丈夫……。ちょっと最近現実を見たというか、ことりちゃんを精神的支柱にしたいというか、幸せを腕で感じたいだけだから、ことりちゃんはそのままでいてくれ」
夏水「あーはいはい。ご馳走さまです。花恋は奥にいるからはよ行ってやれ」
――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 奥の部屋――
花恋「あーやっと来た。行く前に私と奉で調べたこと、共有しとくね」
花恋「まず皐月さんに聞いてみたんだけど、皐月さんもビックリしてた。ゴミばっかりだから別に放置しておいてもいいわよって」
花恋「もみじさんにも聞いたんだけど、あのお店は宝石をメインに扱ってたんだって。後は本とかツボとか……、らしい」
花恋「霧が出てる、って言ったんだけど実際はなんていうのかな。蜃気楼みたいな感じ。行けなくはないけど普通の人は無意識で近づかないようになってるって凛空が」
秋夜「伝聞ばっかじゃねーか。まあ、わかった。奉ちゃんは?」
花恋「先生が朱鷺森によったからついでに捜査手伝ってもらっただけで、今は山梨だったかな」
ことり「皐月さんの宝石っていうとなんか特別な力とかありそうな気がするけどなあ」
秋夜「それな。まあろくな事ないが行ってくるわ。花恋は?」
花恋「邪魔したくないから……。ここで待ってる」
秋夜「そっか。行こっか、――ことり」
――朱鷺森市 稗の銀時計――
▶稗の銀時計を中心に、全体的に薄い霧がかかったようになっていますが普通に辿り着けます
秋夜「まあ、普通だな。なんかベトッとしてるけど」
ことり「そうだね。聞いてたよりは簡単に来れたけども」
秋夜「あ、普通に開いてるわ」
▶鍵の開いていた店に入ると、室内はホコリが多いですが普通ですね。ガラスケースに宝石がたくさん並んでいます
ことり「それじゃあ……、お邪魔しまーす……」
秋夜「あのそのえっと……ことりさんは宝石とかの鑑定の知識とかおありになりますかね」
ことり「え?いや、あんまり自信はないけど……。どうして?」
秋夜「高そうすぎて触るの無理……」
ことり「それは、まあ……。いやでも、石だしそう簡単には割れたりはしないんじゃないかな。たぶん……」
秋夜「わわわわかった。ゆっくり触るわ。これは卵これは卵……いやこれ割れるわ無理だわ」
▶割りそうになりながら慎重にガラスケースを開けたりしていると、
秋夜は3つの家紋がついたペンダントを、ことりは暗く輝く赤、青、黄色の宝石を見つけます
ことり「危なかった……、とても……」
秋夜「心臓止まるかと思ったわ」
秋夜「あっこれ家の家紋だわ。アンティーク屋に紛れ込むとかあるんだなあ。持って帰っていいのか……?」
ことり 「皐月さんなら意識して持っててもおかしくなさそうだけどなあ。でも売り物棚にはおかないかな」
ことり「それに、秋夜の家の家紋ならほかに3つはありそうじゃない?見たところ1つ足りなさそうだけど……」
秋夜「ああ……?多分椿さんが自分のやつは回収したんだとは思う。それよりそっちの暗い宝石のほうがヤバイわ。うちの家紋彫られたやつよりよっぽどやばいでしょ」
▶ことりが確認するために近づくと、宝石がガラスを突き破り急に浮かび上がります。3種の宝石がくるくると周りだし始めますね
ことり「わ、わ、わ。私まだ触ってないよ!」
秋夜「ソニックで見たわこれ。ペーパーマリオでも見たかもしれん」
▶宝石が回転し始めた後、光り始めます
秋夜「これはことりちゃんがカオスコントロール出来るフラグになるんかなあ……。時間の魔女とか名乗りだしてシャキーンするんだろうなあ」
ことり「これは私もついに宝石大好きな女神さまになれるかも……?いや、でもツンデレは私よりお似合いがいるからなあ……」
▶宝石が砕け散った音がした後、ことりちゃんそっくりの小学校低学年くらいの幼女がいますね。髪の毛の色がエメラルドグリーンで、ものすっごい鮮やかです。目もガラスのように澄んでいて、引き込まれるほどです
秋夜「なるほどなー。俺もついに子持ちかぁ……。もう娘が出来たのか俺……え、俺まだ何もしてないのに!?いやかわいいなこの子。小学生時代にことりちゃんと出会ってたらこんな感じだったんだろうなあ、いやかわいいわ……俺が父親……?それとも他に相手が……?」
ことり「わあお……。これは弥生ちゃんや卯月ちゃんみたいな感じなのかなあ。そんな記憶ないけど。あとなんか、不良チック……?だけど」
ことり「えっと……、こんにちは?」
ロリ「こんにちは……?」
秋夜「稼ぎはあるけど親としての教育が俺は出来るんだろうか……?誰の子供でもことりちゃんの子供なら可愛がれる自信あるしそこは問題なし。せめて人道に反れないように教育……?俺が……?いや無理でしょ……」
ロリ「うー……?カオスコントロール……!」
ことり「あ、できるんだ、それ……」
▶気づくとことりちゃんにロリっこが抱きついてます
ロリ「時間の魔女……!しゃきーん……!」
ことり「あ、これ私がやってる感じ?そういうこと?」
秋夜「全然わからん……。取り敢えずこの子連れ帰って花恋にでも見てもらったほうが良くないか?こういうの専門だろ?」
ことり「う、うーん……。えっと、君、お名前はわかる?私は綾瀬ことり、このお兄ちゃんは萩野秋夜っていうんだけど……」
ロリ「ことり……?しゅうや……?名前……名前……、鏡」
秋夜「鏡……?うわ、ことりちゃんと鏡写しだからってことか。すげー俺が付けそうな名前だ……」
ことり 「でもそれって成長してからつけそうじゃない?生まれる前ならどっちに似るかもわかんないし」
ことり「やっぱり言う通りに花恋に見せたほうがいいのかなあ。連れ出していいのかもわかんないけど」
秋夜「やめろやめろ……俺の娘っていう微かな希望にかけてるんだよ……!!今更NTRとかされてる事実を直視したくないんだ」
鏡「NTR……?」
ことり「されてない、されてないからね!?というかされないためには秋夜が頑張りにかかってるんじゃない……?」
秋夜「行こっか……。誰の子供でも鏡ちゃんはちゃんと一人前の淑女に育てるからね……!!」
鏡「淑女……?うん」
ことり「あーーーほら!よからぬワード覚えちゃったじゃん!あのお兄ちゃんが言ってたことは忘れていいからね、えっと、鏡、ちゃん」
――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉――
▶夏水が驚愕の顔をした顔、すぐに神妙な顔をします
夏水「おうお帰り。――そういうのは籍入れてからのほうがいいと思うぞ、俺」
秋夜「そうですよね……。""""""俺の""""""娘の鏡です。ほら、お姉さんに挨拶して」
鏡「鏡……です?」
夏水「いや、そこを疑ってたわけじゃないんだが……。調査の方は……?」
ことり「威圧しないの……。この子、皐月さんのお店の宝石から出てきた、いや宝石がこの子になったんです。他は特に普通でした。霧は出てましたけど……」
夏水「まあ、髪の色見たらそうだろうとは思うけど……。顔似すぎてやばいでしょ。完全に子持ちだわコレ。――いや、一応花恋にも報告して。できるだけ穏便に」
ことり「帰り道うすうす考えてましたけど、やっぱ報告しないとですよね……」
秋夜「既成事実……初動大事……ここで花恋に俺の娘アッピルしておくと既成事実になる……そうだろ、俺……」
鏡「既成事実……?」
――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 奥の部屋――
▶ウキウキして出迎えた花恋でしたが、じわじわと顔が変わっていきます
ことり「いい?話は私がするから、秋夜はあんまり変なこと言わないようにね?わかった?」
花恋「あー。どだった?ちゃんとお留守番して、待って、た。か、ら……………………っっっっっっっっっっっっっ!?!?!?!?!?!?!?」
ことり「遅かった…………」
秋夜「いや、えっと……そのですね……」
花恋「こ、子供……?!?!?!?い、いつ!?!?やっぱ物置!?でもこの大きさだと6歳か7歳!?!?えっ……中学生の時……?あの時も、あのときも……既に子持ち……!?」
花恋「えっと……。お嬢ちゃん、お名前は?私は花恋だよ。お……お父さんと、お母さんの友達……」
鏡「鏡……」
花恋「えっと、お姉ちゃんはえっと、お兄ちゃんの昔馴染み……えっと、……友達で。昔から一緒に…………」
鏡「お兄ちゃん……?NTR……?」
ことり「ほらーーー変な影響受けちゃってるじゃん!どうするの秋夜!」
秋夜「いや、俺関係ないから!?ってか俺もイマイチ確証がね!?」
ことり「言っておくけどまだ違うからね……?皐月さんのお店には行けたんだけど、中の宝石が急に光ってこの子になったの!!」
花恋「うっっっっ………………。うぅ……はぁぁぁぁぁ……。そっか。宝石から生まれたのね。さっきね。うん、そうだよね……。まあ、その髪の色だし、行かなかった私も悪いし、ワンチャン子持ちでNTR出来るかなとか思ってないよ。私の娘だよー、って出来たかもしれないけどさあ」
秋夜「そうだから。俺、何も手出してないから!!!でもこの子は俺の娘だから!!!」
ことり「二人して性根が逞しすぎる……。とりあえず、どうしよっか……」
ことり「そういえば、まだお名前しか聞いてなかったね。どこから来たとか、ほかに何かわかることある?」
鏡「既成事実……?」
花恋「おえっ…………。え?何?そういうプレイなの???見せつけていくスタイル????玲海いないときにそうやって爆撃で私だけ殺しに来るのやめてよ……。私メンタル強くないし、ねえ……?」
鏡「お母さんから来た。心地良いふわふわ……」
花恋「はぁぁぁぁぁ…………あぁぁ……。そっか。お母さんから来たんだ……そっか……」
ことり「この流れでお母さんってワードは空気が怪しくなっちゃうね……。うーん……、お母さんの名前ってわかる?」
鏡「ことり……?」
ことり「……わぁお」
秋夜「あーあーあーあーあーあーあーあー!!!!!!!取り敢えず俺の娘ってことで!!!!!!俺が岩手まで連れて帰るから!!!!いいよな、花恋!」
花恋「うん……。お幸せにね……。でも、教えてほしかった、な……」
ことり「君たち」
秋夜「さーお家帰ろっか!!!鏡ちゃんはちゃんと作法とかおしゃれいっぱい勉強して、立派な淑女になるんだぞー!!お嫁に行くまで大事にするからなー!!!!お嫁……お嫁……げばぅぁ……」
ことり「はーぁ……。ちなみにお父さんはわかる?あと何歳かも」
鏡「わかんない……」
ことり「そっか、ありがとうね」
秋夜「立派な淑女に……このはちゃんくらい寂しい陰キャ高校生にも優しい子に……」
鏡「淑女……淑女……」
ことり 「まあそうだよね、保護はしないといけないもんね。お母さん、かあ。同名なだけかもだけど」
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