2019年8月17日 窓越しに見える景色は観念上同じものなのだろうか?

――新潟県 寺泊町:古民家紅葉――


もみじ「うーーーーーん……。完全に前哨基地になってるわね……。それで、ことりちゃんは不倫の旅ですか」


ことり「まさか!――秋夜くん一筋ですよ!……いまのところは」

彩音「……」


もみじ「取敢えず狸寝入りするのはNG。さっき一緒に入ってきたのに」


彩音「……流石にわざとらしかったか」

ことり「あ、ひどいわ!また私に仕事を押し付けようと!」


もみじ「そんなあなた達に楽しいお仕事をあげる。ここは前哨基地だけど、もっともっと最前線にぽいっちょしてあげるわ」


ことり 「えぇ……、私ら全員後衛では……?」

彩音「遺書の準備はいる?」


もみじ「いるいる。なんなら岡山だよ」


彩音「そこはいらないと言って欲しかったところ」

ことり 「さよなら私の人生……、ただいまお墓……」


もみじ「私みたいな左遷と違って立派な栄転だってばよ。二階級特進するかもしれないけど、秋夜くんもいるしお祭りもあるらしいわよ?」


ことり「ほう、お祭り!」

彩音「えっとー、仕事の詳細はここで?それとも現場?」

ことり「それに秋夜くん!」


もみじ「白雨ってとこに朱鷺森神社があるのよ。そこでなんかゴタってるみたいで、紅葉が英雄を集めまくってるのよ。秋夜くんとは予定を合わせておいたから一緒に仕事できるわ」


ことり 「はえー、そんなところにまで朱鷺森神社」

彩音「白雨の朱鷺森神社、ね。英雄を集めまくりって、見事な最前線だこと」

ことり「秋夜くんとお祭りの組み合わせにはあまりいい思い出がないので、ぜひリベンジをしたいですね!」


もみじ「仕事の内容は魔法様への接触。理由は向こうの紅葉のマスターさんに聞いて。私の後輩だし親身にはなってくれるとは思うわ」


ことり「はーい」

彩音 「了解です……。命持つかな」


――岡山県 白雨市:裏路地紅葉――


▶裏路地にひっそりとある紅葉に入った瞬間、絶叫に近い声で騒いでいるのが聞こえてきますね


コガネ「ご主人さま!!あーーーんしてくださいあーーーん」

ラウラ「ダーーーーメーーーでーーーーすーーーー!!!!!!ご主人さまは私のものなんですぅ!!!!!」

灯風「うるさいうるさい……。今日は来客があるんだから大人しくしとけ。後あーんはしない」


彩音「……まさかこんな騒がしいところが紅葉、なわけないわね。すみません店間違えました」

ことり「いやいや、思いっきり紅葉って書いてあるからね?あと朱鷺森もあんまり大差ないと思う……」


コガネ「ご主人さま。惰眠の化身ですよあれ」


ことり「ということでおじゃましま~す」


ラウラ「ようこそいらっしゃいました。ご主人さまに抵抗できず毎晩侶に過ごしております。ラウラと申します」

コガネ「ご主人さまからのご寵愛を毎日受けております。コガネです」


ことり「長野?新潟?の紅葉から連れてこられました、綾瀬ことりです」

彩音「うっそでしょー……。はぁ、同じく水上彩音です」


灯風「鷲羽だ。こいつらの言ってることは無視してくれ……。ラウラ」

ラウラ「『百合漫画って結局、男出すための踏み台だよな』」

コガネ「ガッ………………ガイアッッッ」


▶そう言うと、地下室への扉が開きます


灯風「見覚えあると思うが合言葉だ。気にしないでくれ」


ことり「まあ、どこ行ってもこれを見せられてたら流石に……」

彩音「つっこみはいつ頃に置いてきたんだろうなー」


――白雨市 裏路地紅葉:個室――


▶秋夜が居心地悪そうに座っています。ことりを見かけると、あからさまに目をキラキラさせて寄ってきます


秋夜「こ、ことりちゃん……。直接会うのは2ヶ月と12日ぶりだね。俺もあれから強くはなった……とは思うよ」


彩音「ほれ、お呼ばれされてるし行ってきなよ」

ことり「ひっさしっぶりー!えっと、ひ、日付まで数えてくれてたんだね……。寂しかったってことだよね多分、……わかるよ」

秋夜「毎日ラインやってるとはいえことりちゃんからすぐ返事もらえなかったら俺1日凹むから……。忘れることなんてないよ」

ことり「お、おおう……。な、なる早で返すね……」

彩音「はいはい、よしよし……、仕事前に胃にラード投げ込むのやめてくれませんかね」


コガネ「英雄様……。3人揃ったので、私から仕事の説明をさせてもらいますね」


彩音「魔法様への接触ってのは向こうで聞いたけども」


コガネ「詳しい事情は省かせてもらいますが、現在紅葉と提携している朱鷺森神社で、アンドロイドの暴走を抑えに行ってもらってます。本日は朱鷺森神社の奉納祭でして、陽が一番強くなる日なんです」

コガネ「花恋様や玲海様は先に神社に行って屋台の仕込みなどを手伝ってもらっています」

コガネ「そこで、この陽の力を使って魔法様を逆探知しようということなのです」


▶説明しつつ、コガネはノーパソを取り出して、カチャカチャターンしていますね


ことり「なるほど」


コガネ「出ました!この場所です」


▶パソコンをターンさせ、画面を見せてきます。郷土資料館の位置が光っていますね


秋夜「ん?ここ郷土資料館だな。こんなところに入り口があるのか」

彩音「じゃあ私達はここへ向かえばいい、と?」


コガネ「そうです。現状白雨支部の夜叉では魔法様に接触しても消し飛ばされてしまいます。英雄様達で接触していただき、……可能であれば情報を手に入れてきてくれると」


秋夜「じゃあ行こうか水上、ことりちゃん。久々とは言え俺らが揃ったら怖いものなんて何も無いよ」

彩音「そうね、2ヶ月と12日ぶりだけど大丈夫よね」

ことり 「うっ……。ま、まあそうだね、よし行こう!彩音、秋夜」


――白雨市 郷土資料館:館内奥――


▶受付でお金を払い、奥に行くと白死蝶の剥製の上に紫の悪鬼が出ています


秋夜「これが白雨市の目玉、白死蝶だよ。――どうやら見たものを死に追いやる伝説があるらしい。まあこれはレプリカだけどね。……ことりちゃんと一緒に見たくて色々調べてきたんだ」

ことり「はえー。じゃあ本物はやっぱ普通に捕まえられない的な」

秋夜「みたい。現物はすり抜けるって花恋と調べてわかったよ。花恋はロマンチックないきものだねって」

彩音「色が黒じゃないだけましってね。早く済ませて、早く帰りましょう?」


ことり「ところでなんか呼び方戻ってない?LINEだとちゃんとことりって呼んでくれてるのに」

秋夜「――わ、わかったよ恥ずかしいんだって。こ、ことり……悪鬼から戻ったら俺とお祭り回ってくれませんか?浴衣も手配してます。水上の分もあります」

ことり 「一緒に慣れていこうね。私もお祭り行きたかったというか、リベンジしたかったし是非」

彩音(隣で砂糖吐かされる身にもなってほしいんだけど)


秋夜「じゃあ行こうか。俺が先導するよ」


▶秋夜は彩音の手を取ります。それを見て、ことりは慌ててもう片方の手をひったくるように握ります


彩音「それで手を取るのが私なのか」

ことり「う、うーん……、ま、まあそっちも慣れていこうね……」


――小京都の草街――


▶入ると、暗い空間に赤い灯籠が立ち並び、奥には薄っすらと五重塔も見えます。周りは牛の石像や稲などが穂を垂らしてますね


秋夜「あーお祭りって感じだな。2人共大丈夫か?」

彩音「全然平気、ことりは?」

ことり「オールオッケー」


▶ことり 日本文化

 成功

▶彩音 妖怪知識

 クリティカル[軌道修正]

▶この空間は神様の領域のようですね。千と千尋の神隠しや、伏見稲荷などに雰囲気が近いなと感じることができます。また、神性を感じ、背筋がぞわっとします。奥に進んでいくと五重塔のところに石でできた鳥居を見つけることができます。本殿だな、と直感的に感じることができました


ことり「まあ紫だしねえ、神様っぽい感じだあ」

ことり「今更だけど、紫に手をつないで入ってって言うのにもあんまりいい思い出無いね……」


秋夜「いやぁ俺はこういうの得意じゃないから。ことりちゃんは本当すごいわ。惚れ直すくらい。一生大事にする」


ことり「ありがとう。ってほら、また呼び方戻ってるよ」

秋夜「あ、ああ……ごめん。水上はどうだ?何かわかったか?」


▶そう言いつつ、秋夜は彩音の顔を覗き込みます


彩音「あー……?なんで覗き込むのかわからないけど。あの五重塔が鳥居?もあるし本殿っぽい感じがする」

ことり「わ、ずるい。それ私にはやってくれないの?」

秋夜「いやことりちゃ……ことりにはちょっと、恥ずいというか……」


秋夜「それよりほら、本殿なら奥行こうぜ!!な、水上!!」

彩音「限界オタク」


――小京都の草街:本殿――


▶本殿に入ると、真っ暗で何も見えません。低めの声に聞こえますが、時折アイドル声優のような甲高い声が混ざっているように聞こえますね


???「何者だ?」


秋夜「え、えっと。リア充ラブラブしてて生涯を誓った人を守る夜叉です。本日はお見通りを願いに来ました」


▶そう言いつつ、秋夜は彩音の手を握ります


彩音(えー?いやそこは……えー…?)

ことり「まあ、手を握った方相手とは言ってないしね……」


秋夜「えっ!?!?いやえーっと。小さくてすべすべしてるから綺麗で指先が細いことりちゃんと何か違うなって思ってたんだよ。いやほんとすまん水上!申し訳ない……」

彩音「わかったからその未だに握ってる手を離しなさい」

秋夜「ごめん……」


???「――漫才をしにきたのか?」


彩音「失礼いたしました。私も同じ夜叉です……はい、同じ」

ことり「い、一応ラブラブな方の夜叉です……。これ、この口上じゃないとダメだったりするの?違うよね?多分……」


???「愛の使者が3名。何用だ?」


秋夜「あの、えーっと。女の子をかっこよく口説く方法とか教えてもらえると……」

ことり「私がいるのに?――はっ!私を口説くため……!?」

彩音 「次にボケたら平手」

ことり「ゆるして」

秋夜「水上に平手されるとか朱鷺森のクラスメイトからするとご褒美なんだよな。ということで、どうぞ!」

ことり「え、えぇ……。よし、一旦仕切り直そう。秋夜も、彩音も!!」

ことり「だからその振り上げたまま収める先のない腕も降ろして……」

彩音「……すみません、本当にすみません。本来の目的はこんな不真面目な内容ではなかったんです」


???「――沈黙は金なりだ。口は禍の元になる。陰を集め、大きな厄を呼び寄せるぞ」


ことり「ほんとすみません……」

秋夜「すみません……」

ことり「私達は魔法様に会いに来ました。ただ、細かい目的はちゃんとは聞いていないので……、秋夜くん?」

秋夜「魔法様に龍神様や白死蝶のことを聞いてこいとうちのボスから言われてまして」


魔法様「なるほどな。だからこのような日にわざわざここまで来たのか。白死蝶というのは本来、世界樹から生成される鳩のようなものなのだ。白死蝶そのものではなく、生物的に蝶という概念全体がそういう役割をしている」

魔法様「既存の生物を、自分達のものだとわかるように観念で変化させたものになる。儂なら子狸だし、龍神のやつなら白死蝶になるというだけのことだ」


秋夜「あー。首筋にキスマークつける感じですか」

彩音「例えをもっとマイルドにできないのかね」

ことり「魔女の口づけ的な」


魔法様「だから本来、白死蝶は龍神のものなのだ。だが最近、儂の姿を騙ったり龍神の姿を騙ったりするやつが出てきおった。実は、この近くに世界樹があるのだが、世界樹を別の観念として誤認させ自分の信仰力として取り込んでいるようなのだ」


秋夜「ハーレムにするために当馬にくっつけさせて、わざわざNTRするラブコメ主人公みたいな感じですか」


▶彩音が秋夜の腹に蹴りを入れ、顎にアッパーをキメます


秋夜「あっやばい……。この間ことりちゃんに蹴ってもらった時よりちょっといいかもしれん」

ことり「ほらほら、秋夜くんもちゃんと立ってね。ぴしっとしないと」

彩音 「……続きをお願いします、魔法様」


魔法様「……ともかく。最近は儂がやったものとして、団三郎やら刑部やらが突っついてくるのだ。――狸の劣化コピーの特性も持っているらしく、儂だと疑われている。……儂や狸の濡衣を晴らす為にもなんとかしてくれ」


ことり「あー、それで姿を隠しておられる」

秋夜「あっ!俺Mじゃないからな!水上のが特別なんか良かっただけだから」

ことり「ほらぴしっとして」


魔法様「姿を消している、というより最近は、偽物と存在が同一視されつつある。色んな場所で儂じゃないか?と疑われることで信仰力をまるごと奪われている。龍神の憑代で居住区を作るのが今は精一杯よ」


秋夜「なるほど。じゃあ花恋に踊ってもらえればある程度の間の保険にはなるか。奉納祭だしちょうどいいかもしれん」

ことり「なるほど……。ちなみにその相手の目星や、それがなくとも多少の手がかりみたいなものって掴んでいたりはしませんか?」


魔法様「これだ……」


▶暗闇からボールペンがカラカラと転がってきます


彩音「ボールペン……?」


魔法様「ハーバリウムボールペンというらしい。金木犀の香水が入っており、紋章のようなものも入っている。――人間同士のことは人間に聞くとよい」


秋夜「じゃあ灯風さんに聞きに戻るか。ありがとうございました。ほら水上、大丈夫か?お前殴り慣れてないんだからふらついてるぞ」

ことり「それ殴らせないのが一番よくない?」

彩音「じゃあそんなことをさせるようなことを言うなと……ありがとうございました、魔法様」

ことり「なんというか、お騒がせしました……」


――岡山県 白雨市:裏路地紅葉――


▶入るとラウラとコガネがぐったりしていますね


ラウラ「きゅ~~~~~~」

コガネ「きゅ~~~~~~」

灯風「暴れ過ぎだ。浴衣なんてどれ着ても一緒だろうが」


秋夜「只今戻りました。会えましたよ」


灯風「そうか。報告はまともそうな方に任せて、英雄様はそっちの食材持っていってくれ」


秋夜「うぇっ……。了解です……」

ことり「ああ……、秋夜がまともじゃない方扱いされてる……」


灯風「それで、報告はどっちがやってくれるんだ?」


ことり「そんじゃ任せた」

彩音「彼氏の矯正は彼女の役目じゃない?まあそれはそれとして」


彩音 「簡潔になりますけど、魔法様や龍神様を騙るものが現れました。近くの世界樹を誤認させて、その偽物の力にしているようです」


灯風「世界樹……?この辺にそんなものあったか……?」


彩音 「そいつを探す手がかりとして渡されたのが……、これです」


▶灯風にボールペンを手渡します


灯風「これは……婦人会が作ってるボールペンだな。資料によると婦人会の幹部向けに制作されたものらしく、立川、黄楊、白神の家紋があしらってあるらしい。本物は写真でしか見たことがなかったがよく持ってたな……」


灯風「有力な証拠だ。報酬は後で七瀬さんのところの口座に振り込んでおく。お前達もお祭り行ったらどうだ?そろそろ始まってるらしいぞ」


ことり「ありがとうございます。それじゃあお言葉に甘えて」

ことり「あ、浴衣用意してあるって言ってたけど……、秋夜のとこにいけばいいのかな?」

彩音「戦ってもないのに疲れた」


灯風「萩野くんは今、神社の裏口から入った離れに住んでいる。先に寄っていくといい」


――岡山県 朱鷺森狐火宮神社:離れ――


▶プレハブの小屋ですね。鍵が閉まって入れないのか、外で作業が終わったばかりの秋夜が待っています


秋夜「水上の白い肌にピンクの金魚の浴衣がとても似合ってるよ。2日かけて選んだかいがあって俺も嬉しいよ」

彩音「はい、うん、はい……。まあ選んでくれたし諸々抑えとくよ、ありがとう」

秋夜「喜んでもらえたなら俺も嬉しい。こ、ことりちゃんも……綺麗、だよ」

ことり「あ、ありがとう……。そんなに照れられるとこっちも恥ずかしくなっちゃうね」


玲海「なんか浮かれてるイチャイチャNTRJDがいますよ奥さん」

花恋「そうですね。ロリコンの秋夜が彩音に手出さないわけないじゃないのにねえ奥さん」

玲海「相変わらず伸びないね彩音。ちゃんとご飯食べてる?秋夜の精力啜ったら大きくなるらしいわよ。――秋夜がやってたエロゲに書いてたわ」


彩音「私はこれぐらいが丁度いいの。それに大きくなる代償がでかすぎるって」

ことり「でたわね押しかけ女房ズ!元気だった?」


花恋「はいはい元気元気。それよりそっちの方はどうなのよ。私は秋夜にちゅーまでされちゃったよ?」


ことり「え"」

秋夜「覚えてねえ……。したのか……?花恋と……?」

ことり「記憶がなくなるほど情熱的な…!」


花恋「ひどい…………。珮未ちゃんと一緒にお酒飲んだ時あんなに襲ってきたのに覚えてないなんて……」

玲海「おーダイターン。公認浮気だぁ。彩音もやったらイチコロかもよ?」


彩音「ご遠慮」

秋夜「酒飲んだのは覚えてるけど……。そっから先……やべえな覚えてねえ……」

ことり「これは私もちゅーより上の……上の……、ちゅーより上で無難なのってなんだろう」


玲海「でも秋夜チョイスなの彩音だけなんだよ?」


彩音「それただことりの浴衣選ぶの恥ずかしかっただけじゃないの?」

ことり「あれ、じゃあ私のは一体?」

玲海「そっちは私」

花恋「安心してことり。ちゅー以上はなんとか逃げたから!!後はお若いお二人で……」

玲海「はい離れの鍵。お祭りでこれから花火だからね」


ことり「そんな!私にはそもそもちゅーもあんまりしようとしてくれないのに!」

秋夜「どうだったっけ……?珮未というか神様に御神酒飲まされて……その後……どうしたんだっけ……?」


ことり「ってなにいってんの、行こうよ皆で、お祭り!せっかくひっっっっっさしぶりに会えたんだから」

玲海「ないない。毎日毎日ことりちゃんことりちゃんうるさいんだから今日くらい秋夜あげるわ。お祭りは明日もあるしね」


ことり「あ、そうなの。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」


花恋「そういうこと。彩音はどうする?ことり達に混ざる?」


彩音 「……うーん、私がいないとなんか秋夜が暴走しそうだし。だからといってことり耐性をそろそろつけたほうがいい気も」


玲海「やーん彩音のえっちー。やっぱりNTR趣味でしたよ奥さん。私達より男の趣味悪いよ」

花恋「ねー。人のものしか欲しくならないんだ。おっとなー!」


ことり 「まあ私はどちらでも、彩音も秋夜と会うのは久々だろうし」

彩音「なんか別の方でさらに脱線してるし……決めた。明日ゆっくり祭りを過ごす、じゃあがんば」


玲海「おっと逃さないぞー。私達とも久々でしょー!」

花恋「屋台全部おごってよねー」


彩音「さっきNTRやらなんやらよくわからない事言ってたのに……、はいはい」

ことり「鬼だ……、そして本当におごるのか……」


▶3人はお祭りへ繰り出していきました。ことりはプレハブの鍵を開けて、ワンルームに入りますね


――朱鷺森狐火宮神社:離れ――


秋夜「あ、あれ……?ことりちゃん、他のみんなは?」

ことり「今日は二人でお祭りたのしんでおいでってさ。明日は私がおごる番かなあ、これは」


秋夜「なるほど。俺も思い出したんだけど、神様に二人の時飲めって渡されたのがあってさ。こっち来て」

ことり「神様ってクニシヒノタマ様だよね。神様のおせっかいってなんか怖い気もするけど……」


秋夜「これこれ。お清めの水なんだってよ。1つしかないけど……、どっち飲む?」

ことり「お清め……?ま、まあそれじゃあこっちを貰おうかな」


▶ことりが自分で盃を取りますね


ことり「神様は他になにか言ってた?」

秋夜「俺が幸せになるらしい」

ことり 「うーん、だったら本人が飲むより私がのほうがいいのかな?いただくね」


▶ことりが飲みますが、自分の身体は何も変化はなさそうですね。秋夜の方は見る間に挙動不審になり、目を合わそうとしたり、急に反らしたり、背中を向いたり忙しなくなります


ことり「んー?なにか変わったようには見えないけど、やっぱり普通のお清めの水だったのかな?」

秋夜「あーやばい。えっやばない?これいけるか……?玲海とかは3時間は帰ってこない。珮未ちゃんはここには来ないし……鍵はもらってる……」


秋夜「えーっと……あのー、そのーえっとな」


▶そっと入り口に周り込み、離れの鍵と窓の鍵を閉めカーテンをします


秋夜「――――ことりちゃん!」

ことり「え?は、はい!――ってまた呼び方戻ってる~~」


秋夜「俺のこと、どう思ってる?俺は墓場まで一緒にいたいし、死ぬときも一緒がいいし、一時も離れたくない。ことりが他の男の目を見てるだけで気持ち悪いくらい嫉妬するし、俺だけ見ててほしい。まだ俺が学生だから結婚は俺の責任が取れないけど、しがらみがなければ今すぐ俺のものにしたいし、離したくない」

秋夜「聞かせてことり……。俺、毎日毎日不安でいっぱいでさ。こんな綺麗な娘、俺じゃ一生かかっても2回目はないと思ってるから。幸せで幸せでたまらないから、落ちた時のことをどうしても考えてしまうんだ」


ことり「私はまあ、秋夜のこと好きだよ。最初は仲のいいクラスメイトってくらいだったけど、大事にしてくれてるんだろうなってのは伝わってくるし」

ことり「好きって思ってくれてるんだろうなっていうのはすごく伝わってきていたし、だからこそ海で告白してもらったときは、めちゃくちゃ嬉しかった」

ことり 「それからデートもしたし、ちょっと変なことが起こったことも合ったけど一緒に居てくれたし、私のために強くなろうとしてくれてることも知ってる」

ことり「自覚あるかはわかんないけどしょっちゅう他の女の子にアプローチかけるくせに、私には恥ずかしがってて手を握るのもやっと。そのくせにたまに会えない期間があると私のために!って次に会うときのために張り切ってくれる」

ことり「大切にしてくれてるのはよくわかるし、そのせいでたまに重くなっちゃうところはあるけど、それを埋められるくらい、色々尽くしてあげたい」

ことり 「全部が全部好きっていうのは私には言えないし、というか直してほしいところもちょこちょこあるけど、そこは一緒に良くしていきたいし、そういう部分も好きになっていけるかもしれない。嫌いな部分ってわけじゃないしね」

ことり「私は秋夜が好きだし、これからも一緒に居たいって思ってるし、ずっと秋夜の事を見ているよ」


ことり 「だから、目を覚ませーーーーーーーーい!!!!」


▶秋夜の尻をハイキックします


秋夜「あっ……。この痛さと太ももの感じはことりちゃんだこれ」

秋夜「いやごめん……。なんか急にことりちゃんが愛しくて愛しくてしょうがないというか……めっちゃ可愛かったから」


ことり 「それ絶対さっきの水が原因だよね!?やっぱり神様の贈り物ってろくなものが無いんじゃ……?――そりゃまあ、可愛いって思ってもらえるのは……嬉しいけど……」

秋夜「そうだわ……冷静に考えたらあのクニシヒノタマ様だわ……」


秋夜「あー鍵かかってるじゃん。鍵何処おいたっけな……」


▶秋夜はキョロキョロと鍵を探していますね


ことり「えぇ……、さっき自分でかけてなかった……?」

ことり「というかもしかしてさっき花恋に言われてた記憶がないやつって、これが原因だったのでは……?神様がどうこうって言ってたし」

秋夜「そうかも……。というかやっぱり記憶にないからなぁ」


ことり 「あ、というかさっき玲海に渡されたのここの鍵じゃない?これ」

秋夜「そうそうこれこれ。――よっしゃ、合流しようかことりちゃん」


ことり「まあでも、お祭りは明日もあるみたいだし、部屋の中で見る花火っていうのも乙なものじゃない?二人なら特に!」

秋夜「え、あぁ……うん」

ことり「一緒に見ようよ!今日は二人きりにしてくれるらしいしね」

秋夜「あ……うん。うん。ありがとう」

ことり「綺麗だね、花火。……これからも頑張ろうね、一緒に、――二人で」

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