2019年8月2日 本家のお屋敷

――滋賀県 東近江能登沿い紅葉――


▶高城川と鳥江姉弟が本部からの招集で東近江能登沿い紅葉に呼び出されています。クラシカルメイドの代表の人が説明をしてくれていますね


高城川「となると、私達が招集されたのは警備ということですか?」


メイド「そうなりますね。最近の傾向に対しての保険という明目で招集されてもらいました」


謙二「最近の傾向っていうと……」

結「なるほど~、警備なら、そんなに道具は必要なかったかな~」


メイド「場所はここになります」


▶メイドさんが地図を渡してくれたので見ると、中は皇というお屋敷に対しての、警備要員ですね。紅葉や冬泉の夜叉を20人規模で雇っているのがわかります


高城川「なるほど……岡山の情勢を鑑みて、ということですね。それにしては数が多いような気もしますが」

謙二「そうですね、こんなに人数割くのはよっぽどだと思いますけど」


メイド「それが、あまりわからないのよねえ。紅葉でも冬泉所属でも、新人でもいいから取り敢えず数がほしいって言われたから、ベテランを3人程渡せば黙ってくれるかなーって」


高城川「それでこの人選ですか。あなた達ご姉弟?も腕が立つんでしょうね。私は高城川瑠璃。新人です」

謙二 「どうも……鳥江謙二です」

結「私は、鳥江結って言います~。役割は支援とサポート担当みたいな感じだよ」

謙二「僕は……。まぁ、それで支援を受けて攻撃なり偵察なり……まぁそういう感じです」

高城川「では私が矢面に立てばいいだけですか。良いパートナーになれそうです」


メイド「皇さんとこには夕方にはついててね。そうじゃないと私が怒られちゃうのよ」


謙二「えぇ……、早くないですか……。久しぶりに休める仕事が回ってきたと思ってきたのに……」

結「帰ったらぜんざい作ってあげるから~。それじゃあ、二人共行きましょー」


メイド「無理はしないようにね~」


――東近江市 皇邸宅:中庭――


▶入り口で執事と思われる人がトランシーバーを渡しています


執事「えー。あなた達が最後ですね。所属と名前をお教え願えますか?」


高城川「はい。高城川瑠璃、香川雪城紅葉所属です」

謙二「長野朱鷺森紅葉所属の、鳥江謙二です……」

結「同じく長野朱鷺森紅葉からやって来ました、鳥江結です~。よろしくおねがいします~」


執事「高城川さん、鳥江さんご姉弟ですね。はい確かに」

執事「では、こちらのお部屋で順番待ちで並んでいてください。仕事時間になればお呼びします」


――東近江市 皇邸宅:控室――


▶中に案内されると、既に中には3人程夜叉がいますね。気配などからまだ新人なのだと感じます


▶謙二 仕事知識

 成功

▶紅葉本部のデータベースに英雄特権アクセスで入って名義を調べますが、他の3人は本当に新人のようです。仕事も数えるほどしかしていないようですね


高城川「へー。じゃあなったばかりなんだ。じゃああなたの武器っていうのは?」


夜叉「あっ……えっと、その、ギアソーサーです」

夜叉2「髪の毛です。夜叉ってのはこんなことも出来るんだなぁってかなり新鮮で楽しいです!」


高城川「新人さんだぁ。私はレイピアだよ。長く使うならやっぱり馴染み深いものがいいよね」

結「私はねー、武器っていうか~、バッグに色々道具持ってきてるんだ。何か困ったら利用してね~」

謙二(高城川さんはともかく、あっちの3人はあんまり危険じゃないところを任せたほうが良さそうかな……。となると、先は僕が……。メンドクサイ……)


▶結 観察力

 成功

▶3人のうち1人が全然喋らないことに気づき、観察してみましたが、挙動不審ですね。視線が定まらず、冷や汗のようなものを出してます


夜叉2「あっごめんなさい。こいつコミュ障で、初見だとキョドっちゃうんですよ」

夜叉3「あっえっ……、ああはい……。えっと、そうです。すいません私が悪いってわけじゃないんですけどやっぱり人前で喋るのって緊張しちゃってすいません」


結「そうなんだ~、けんくん……。うちの弟もね、結構人見知り激しいからあんまり気にしなくていいよ~」

高城川「高校にもこういう子たくさんいたから大丈夫だよ。あっ、でも私ももう生徒会長じゃないんだった……」


▶高城川 ローカル知識

 成功

▶建築から5年経っていないと思われます。エレベーターが家に内蔵されており、部屋にはバーカウンターもあるのがこの部屋に案内されている時に見たようですね


結 「このお家、エレベーターついてるんだね~。うちもエレベーター欲しいなぁ」

高城川「――そういえば、ここの家について何か知ってる?私、香川出身の田舎者で」


夜叉3「えっとえと……あのその、私、ちゃんと調べてきてるんです。ちょ、ちょっと待ってもらえますか?落ち着いてからちゃんと話しますので、そのすいません」

夜叉「あー、俺がやります。すんません。――書類見せてくれるか?」



夜叉「えっと、皇家っていうのは、本来滋賀県の浄願寺にお布施をした大地主らしいっす。そこから明治維新の流れに乗って佐渡の開拓に乗り出し、新潟には皇の分家があるほどになった。終戦後、GHQに財閥だと疑われたが規模が小さいので分裂を免れたらしいっす」



高城川「うーん。お金持ちってのはわかったけど、夜叉を雇う情報にはつながらないわね……」

謙二「まぁ、とりあえず複雑な事情のある警備っていうのは分かってきましたね」


▶話していると執事がノックをして入ってきます


執事「では、細岡さん、漆戸さん、春川さん。所定の位置にお願いします」


夜叉「あっ、じゃあまた会えたらいいすね」


結「また後でお話しようね~」


▶3人共、執事に連れられ部屋を出ていきました


謙二「あの3人だけだと不安だけど……まぁ、分担は僕の仕事じゃないしね」

高城川「うーん……?この屋敷くらいの大きさで、警備に20人規模にする理由がある……?ならば順番待ちでもっといてもいいと思うんだけど……」

結 「言われてみればそうだね~……、誰も他の夜叉さんを見かけたりとかしてないよね?」


▶謙二 直感

 失敗 35ダメージ

▶突然、金属の歯車のようなものが隣の部屋の壁から貫通してきます


結「け、けん君大丈夫!?」 

高城川「一般邸宅に歯車……?でも悪鬼空間っていうわけでもないですし……」


▶謙二 情報分析

 失敗


謙二「とりあえず、ここに居るのは危険そうですね……」

高城川「取り敢えず、歯車?が出てきた隣の部屋に行きましょう。わからないことには何も出来ません」

謙二 「そうですね……申し訳ないけど、少し調べさせてもらいましょうか」


――東近江市 皇邸宅:控室の隣の部屋――


▶普通の応接間のように見えます。見た限りだと、異常はないように見えます。貫通してきたはずの壁も何事もないようになっており、異常がないのが異常ですね


▶謙二 罠知識

 失敗

▶端の方が少しカーペットがめくれているので、直そうとしましたがカーペットに触ることが出来ませんでした


謙二「このカーペット、触ろうとしたらすり抜ける……なんだこれ……」

結「このソファーは本物みたいだね~」

高城川「んー?」

高城川「氷の使途よ、我が願いに力を!」


▶高城川 リバースタイム

▶この部屋の時間を巻き戻して映像で確認しますが、そもそも歯車のようなものは飛んできてすらいませんでした


高城川「となると……」

高城川「氷よ……現を秘する世界に光よ!」


▶高城川 スキルキャンセル

▶高城川が、青白く光らせた手を床に触れさせると、みるみるうちに部屋がボロくなっていきます。また、壁が貫通してる跡も出てきますね


謙二「あー、やっぱりそういうのって便利ですね……」

高城川「やっぱり一人だとね。高校の頃は役割分担出来てたんだけど。――それにしてもこれ……偽物だったとしたら、新人くん達危ないよ」

謙二「ですね。探して連れて帰って、それで報告書纏めて……。はぁ……」

結「このお家広いからね~、どっちに行ったんだろう……」


▶高城川 聞き耳

 失敗


高城川「わかんない!とりあえず、ここかなっと」


▶隣の扉に戻り、控室の部屋を蹴って開けると、執事さんが外で待っていました


執事「おや、どうなさいましたか?交代時間はまだ先のはずですが。トイレは突き当りを左ですよ」


結「えーっと、あの新人さん達ってどこに配置されてるんですか~?」


執事「知りません。私の仕事はエレベーターまでお連れする。ただそれだけです」


謙二「とりあえずエレベーター行きますか」


執事「何故です?仕事の時間はまだだとお伝えしたはずですが」


謙二「隣でいきなり襲われたのでね。あいつらじゃまだ、自分の身を守るのも覚束無なそうなんで行かせてもらいますよ」


執事「隣で……?ふむ、わかりました。私はそちらの調査を行います。そちらはお願いします」


高城川「じゃあどんどん行くよ。拙速は尊ぶって誰かが言ってたような気がする」

結「ごーごー」


――東近江市 皇邸宅:控室の隣の部屋――


▶エレベーターの中に入ると、1Fから5Fまであるようですね。2Fのボタンを押しましたが動きませんでした


高城川「壊れてるのかなぁ?」

謙二「……ここにも何か仕掛けられてるんですかね」


▶エレベーターの天井を外し、上に上がりますがやはり何もありませんでした


高城川「あー!わかったわかった。この場所2Fなんだ。ってなると……地下がある?」

謙二「あ……」


▶普通に動いて、1Fに到着します。今までの和モダンな印象とは程遠い、コンクリートの壁になっていますね


謙二「……まぁ、着いたから良いんですよ」

高城川「やっぱりまだ高校生だねえ……。厨二って感じだぁ」

結「ねー」


――東近江市 皇邸宅:1F ――


▶コンクリートとはいえ、白を基調とした丁寧な作りの部屋ですね。目の前に扉が2つあります


――東近江市 皇邸宅:1F左の部屋――


▶左の部屋に入ると、死体が10以上転がっています。先程の新人はいないようですね


高城川「この死体……、心臓が抜き取られてますね」

謙二「あちゃー……」

高城川「見覚えがあります」

結「……というとー?」


▶高城川は死体を蹴り起こし、指を指して血まみれの裂傷を見せます


高城川「ほら、ここのところ。本当だったら内蔵がだらーんって出てくるんですけど、出てきてないですよね?胸をえぐり取らないとこういう傷にならないんですよ」

結 「な、なるほど……?うーん……」

高城川「こういう調査は大郷くんに任せてて苦手なんですよね……。えっと……」

謙二「まぁ、分からないものは置いておいて他の部屋見に行きましょう。あの人達はこの部屋にはいないみたいですし」


――東近江市 皇邸宅:1F右の部屋――


▶右の部屋には、防護服を着た大人に髪の毛を引っ張られて抵抗している少女と、壁際で気を失っている少年に錐のような細い針を刺そうとしている大人でごちゃごちゃとしている状況ですね。既に抜かれている人間もいるようで、血の臭いでむせ返る程です


夜叉2「やめっ!離してください……。やだっ……やめて!」


防護服「おとなしくしろ!心臓が抜き取られるくらいでお前たちが死ぬわけないだろう」


結「あの~、何やってるんですか……?」


防護服「ちっ……上の人間はどうしたんだ!まだ交代まで30分以上あるだろう……」


▶髪の毛を引っ張っていた少女を突き飛ばして、男はハンドガンを構えます


夜叉3「ひゃぅ……」


防護服「おい!殺すなよ!商品にならん」

防護服「わかってるよ……」


夜叉2「たす、助けてください……。お願いします……見捨てないで……」


高城川「……どうする?」


▶謙二 早業で判定

 失敗

▶高城川 武道で判定

 成功

▶謙二がタックルでハンドガンを奪い取ろうとしますが、空中に発砲され怯んでしまいます


防護服「その動きくらい見慣れてるんだよ!」

謙二「くそっ……」

高城川「隙ありです!」


▶一瞬の隙をついて、片方の男に踵落としを決めた後に、もう1人の男にハイキック決めて気絶させます


結「やるねぇ~」

高城川「明夏ちゃんに護身術教えてもらった甲斐がありました。――大丈夫ですか?」


夜叉2「あ、ありがとう…………。そ、それより春川が!なんか適正があるって連れてかれちゃった……」

夜叉「うっ……漆戸!春川!――――生きてる?」


▶結 応急手当

 失敗

▶高城川は気絶している防護服を縛り上げ、気絶してなお握りしめているハンドガンを蹴り飛ばして没収します


結「あれ、上手くできない……」

高城川「取り敢えず身ぐるみ剥いでおくか。後ろから撃たれたりとかしたら怖いしね」


高城川「――取り敢えず、脱出しよう。もうひとりはともかくまず自分が逃げるのが大事」


夜叉2「はい……」


謙二「そっちの人も動ける?」


夜叉「俺は……なんとか。動くくらいなら」


謙二「僕と姉さんはまだ動けるので、もうひとりを助けに行こうと思うんですが、そっちの2人は任せてもいいですか?」

高城川「別にいいけど……、もうひとりが何処にいるか検討はついてるの?」

謙二「…………」

謙二「……上のフロア?」


高城川「ノープランで動いてもいいことないよ……。まずは応援を呼んだほうがいいと思うな。犯罪者でも一応、人様の家だから荒らしていいわけじゃないよ」

謙二「……そう、ですね」


高城川「ちゃんとこの子達を送ってから3人で行こう!弔いもしないといけないからね」

結「そうだね~、じっとしてるとまた襲われそうだし、さっさと出ちゃおうか~」


――滋賀県 東近江能登沿い紅葉――


▶タクシーで戻るなり、クラシカルメイドさんにすぐ説明を始めます


高城川「というわけです。死体の数は数えていませんが、生死不明1人を除いて全滅、と考えてもいいかもしれません」


メイド「なるほど。連れて行かれた、だけど何処に行ったか心当たりはある?」


夜叉2「ありません……なんかいい素体とか、性能がとか、使いやすいって」


高城川「人間に対する反応じゃなさそう……?」

結「素体って事は、何かの材料にするとかそういう感じかな~?」


メイド「一応だけど……あなた達の種族は?」


夜叉「人間です。3人共、そうなはずです」

夜叉2「人間です。もうひとりも人間だとは思う……、幼馴染だし」


高城川「んんー?なーんかこんな話、聞き覚えがあるんだよなぁこれ。――えーっと結凪ちゃん結凪ちゃん……」


▶高城川は結凪に電話をかけます


高城川「あー結凪ちゃん?久しぶり。最近人間まるごと使う実験とかってやってない?――やってる!?人間やめた!?えぇ……。わ、わかった。うん、また会おうね」

高城川「えーっっと……。どうやら生きた人間をカプセルに素体として放り込んで、機械を製造する技術?ってのがあるみたいです」

謙二「それのために連れて行かれたって事ですか」


メイド「ってなると……。鳥江くん達、それに高城川さん。おそらく彼女は輸送されるはず。皇の家で輸送するなら、おそらくここにいるはず」


▶メイドさんは小走りで地図を取り出し、ヘリポートのある場所を示します


謙二「じゃあそこに行きましょうか、まだ間に合うかもしれません」

高城川「おっけー。悪鬼なら殴っておっけーなんだけどなぁ」


メイド「ならこれを持っていって。――これ、紅葉に支給されてる悪鬼に引きずり込む装置。使う機会もないし、基本倉庫に眠ってるものなんだけどね」


結「じゃあささっと助けに行こうか~、一人で心細いだろうしね~」


――東近江市 御在所岳:ロープウェイ駐車場――


▶メイドさんのエグい運転で駐車場につくと、ヘリコプターがあります。ヘリコプターに大きめの袋を2人がかりで載せようとしている防護服を見かけますね


高城川「あれか……。あの装置の使い方、わかる?」

謙二「それなら、投げて魔力を放り込むだけで大丈夫です」

高城川「うーんわかんないから結さんに任せた!私は殴るだけ!」

結「任せて~」

結「そいっ!」


▶機械に魔力を込め、ヘリコプターに投げ込むと霧のようなものが発生し、周囲に青い悪鬼が発生していきます


防護服「なんだ?!」

防護服「煙幕か!?」


高城川「よっしゃ突っ込むよ!救助はよろしく!」


▶高城川 通常攻撃[薙ぎ払い]

 733ダメージ

▶結 常連[やばいガラクタ2個]スルーパス

▶謙二 やばいガラクタ 武器罠

 成功 54ダメージ 56ダメージ


高城川「氷よ、凍てつく刃に鋭利なる絶望を!」


防護服「なんだ!?何処から氷が!?」


結「任せた!」

謙二「任された!」


▶ロープにヘリコプターをくくりつけ、防護服2人も縄で縛りきっていますね。首元に異端者のフォークを差し込んでいます。大きめの袋には案の定少女が入っていますね


謙二 「そっちの新人さんは生きてます?」

高城川「痣だらけで気を失ってますが……、脈はありますね」


――滋賀県 東近江能登沿い紅葉――


▶クラシカルメイドさんは、息を吐きます。


メイド「――皇本家はブラックリストに入れておいたわ。今は敵対指定もかかってる。こいつらは本部に護送して拷問にでもかけるわ。――分家も大概だから怪しいとは思ってたけど、本部も適当だわほんと」


結「いや~、ほんと無事で良かったよ~……」


夜叉2「ありがとうございます……!命の恩人です。私達だけだと今頃……」

夜叉「夜叉って楽しいだけじゃないんすね……もっと心身を鍛えないと……」


謙二「たの、しい……?」

高城川「取り敢えず当面滋賀に所属になったからこれからもよろしくね。謙二くん、結さん」

謙二「えぇ……そんな急な……。いや、けど向こうよりはこき使われる事も減る……?」

結「お父さん達、お店の方私が居なくても大丈夫かな~?まぁ何とかなるよね~」


メイド「まあ所属転換なんて紅葉じゃよくあるし、何かあれば戻ってもいいから」


結「そっか~、それじゃあよろしくね。高城川さん」

高城川「よろしく!」

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