2019年2月6日 信仰の受け皿
――雪城市 雪城高校3F:ミステリ部部室――
▶ミステリ部で青葉が1人、書類を見てうんうん唸っていますね
青葉「卒業したら新しい人呼ぶ……私含めて戦力をこんだけ渡すから……今の戦力が……」
青葉「うぅん厳しい……。一応代表も決めないといけないし……」
夏乃「大変そうだねぇ頑張ってって言いたいところだけど、先頭に立って薙ぎ払ってくれるような人見つけないと辛いのはこっちだからなぁー」
青葉「あれ?なつのん今日来る予定だっけ?まあいっか」
青葉「ま、せっかくだし代表はなつのんでいいとして……。ヘルプだよなぁ」
夏乃 「ミステリ部が私のものになった瞬間」
青葉「ミステリ部は私のものだから」
青葉「うーん……。最近雑魚しか出てないし暇だよね?ね?」
夏乃「まあそうだね?暇だからゆっくりここに居られるわけだし」
青葉「他に呼べそうな人材……いないな!」
青葉「はあちょっとまってね……」
▶青葉はブツブツ言いながら、床に魔法陣を書き始めます
夏乃「あら何するの……えっ私一人?」
青葉「私もいるから……よっと」
▶魔法陣が光っていますね
青葉「これ入って。愛媛にいけるから」
夏乃「やったー先生と二人で旅行だーこれは改めてミステリ部を掴みとるチャンス」
青葉「はいはい……」
――小松島市 銀長神社:境内――
▶狸が立ち並ぶ神社のようですね。その端の方に降り立ちます
青葉「よっと。魔法陣酔いしてない?」
夏乃「大丈夫っていうか、酔うのこれ?初めて聞いたんだけど」
青葉「いや多分酔わない。それはともかく……最近死にそうレベルでちゃんと戦ったっけ?なつのん」
夏乃「ほとんど平和だったのは先生も知ってるでしょ。え、今更修行とか言わないよね?」
青葉「修行というか今から死にかけるというか……。私が死んだら、歩いて帰ってね」
夏乃「ああーそれは大丈夫だ先生が死んだら私も生きてない……」
青葉「そっかそっか。ずっとこんな境内でいると怪しいから、ちょっと場所うつそっか」
夏乃「はいはい、それはそれとして帰れませんでしたなんて言えないからね」
――小松島市 カフェカンパニー紅葉――
▶1時間近く歩いて辿り着きました。青葉は入ってすぐに狸耳メイドをしている店員さんを呼びます
青葉「こんにちは。ちょっと『東方靈異伝をWin10でやりたいんだけど』」
メイド「あっ……はい。奥へどうぞ」
▶狸耳メイドは、バックステージに案内し、壁がゴゴゴゴと開き地下への道を用意してくれます
――小松島市 カフェカンパニー紅葉:地下個室――
夏乃「……そういうのって知りたいっていったら教えてくれる?」
青葉「いいよ。ちなみにうちのところは『ハーレム喫茶があるって聞いたんですけど?』って言うと秘密の扉が出てくるよ」
夏乃「知らないままでよかったわ……」
青葉「まあそれはいいのよ。最近……新潟の二ツ岩大明神がいないって話知ってる?」
夏乃「知らなかったけど、その話からなんで徳島に?」
青葉「じゃあなつのん。――神様と妖怪の違いってわかる?」
夏乃「祀られてるかどうかってところ」
青葉「それだけじゃ正しくないかなー。――正確には、死んだ後も思いとして残るかどうかかな」
夏乃「んー?思いとして残る……?」
青葉「一般的に幽霊って言われてるのは思いが残ってて、伝え残しをなんとか伝えようとしてるやつだけが見えるから幽霊って言われてるの。紅葉用語だと怨霊ね」
青葉「で、その伝える過程で他人に信仰されてしまうと思いが変質して願い事を叶えるだけの存在になるわけ」
青葉「もともとの思いが恋愛の思いだと恋愛成就。勉強しまくりたいなら。学業成就……、みたいなね。1人の神様がいろいろな願い事を叶えてくれるのは思いがそれだけ複雑ってことなの。ま、恋愛の思いでも歪んじゃうと健康祈願になったり、破局の神様になったりもするんだけど」
青葉「神様と戦ったことあるなら叶えるだけ。手段はともかくしてくれるだけ、ってのがよくわかるんじゃない?」
夏乃「まあ、そうだね」
青葉「妖怪は人間のミームで出来てるのは知ってる?存在をミーム側に委ねちゃってるから、妖怪はこうあるべき!みたいなのに引っ張られちゃうの」
青葉「そんな妖怪が結果として感謝されちゃうと、微妙にミーム汚染されて神様に近づいていくの。ロボっぽくなるっていうか……」
青葉「そうなって自意識があるのに、叶えるだけの存在になっちゃったのが二ツ岩大明神なの。似たようなのだと、この辺にも隠神刑部っていうのがいるのよ」
夏乃「あーたぬき。望まないまま神になるってねぇ……」
青葉「そう。自意識がある上に強いから何が起こるかわからないの。そもそも、二ツ岩大明神がいないっていうのも大ニュースなわけ」
青葉「で、確認として隠神刑部も見に行こうって話がうちに来て今から見に行く。つよつよのつよだから、ワンチャン死ぬかもしれない。OK?」
夏乃「おーけい分かった、なんで二人なのっていうのもこうなると些細な話だ……」
青葉「ここも紅葉だけど、一応今の雪城支部の面々は英雄扱いされてるから。英雄は忙しいのよ……」
夏乃「英雄だからってトンデモ案件が回ってきてまた英雄になるんだ……ひどい悪循環もあったものだ」
青葉「10年もやってれば慣れるわ。じゃあ会いに行くけど、心の準備はしててね」
夏乃「必要な準備がわからないから大丈夫でーす」
――小松島市 銀長神社:境内――
▶狸耳メイドにレンタカーを借りて戻ってきました。
青葉「本殿に行くわよ。ここは隠神刑部じゃなくて、銀長大明神が祀られてるわ。本人にあたるよりかは安全でしょう」
夏乃「死にかける程度には安全」
青葉「隠神刑部とかの有名所なんて手加減されてても私らじゃ勝てないわよ……」
▶夏乃が境内を歩いていると、突然背後から槍のような長いもので背中を突き刺されます
64ダメージ
[コミケカタログ2個]
夏乃「ずいぶんと丁寧なあいさつされてるけど本当に大丈夫これ!?」
青葉「悪鬼じゃないと戦えないんだよなぁ……人間の数少ないダメなところ!」
▶2人が振り返ると、鬼の面をかぶった巻き髪のツインテールの少女がゆらゆらと近づいてきています。どっかで聞いたことのある声で『立ち去れ……立ち去れ……』と言っているようですね
夏乃「聞いたことある声だなぁ……こんなところで?」
青葉「悪鬼出せるのか……?こんな神聖なところで?やってみるか……」
▶夏乃 ダメ絶対音感
成功
▶夏乃 ネットサーフィン[超的確な指示]
成功
▶声は門脇舞以さんなのでは?と思いました。また、見覚えもありました。役ついなという、どちらかというと仏教側で信仰されている萌キャラですね。なぜ神社にいるかはわかりませんでした
夏乃「えー……そう、役ついなちゃん!がどうしてここにいるの?」
▶青葉は大慌てで魔法陣を神社で書くと、真っ黒の悪鬼が出現します。
青葉「悪鬼出た!!なんで黒……?とにかくセーブして早く入って!」
ついな「立ち去れぇぇぇ」
▶夏乃 逃走
成功
夏乃「入っても危険だよね!知ってたけど!」
青葉「まだ戦える!」
▶黒い悪鬼に飛び込むのと同時に槍先が頬を掠めました
――ミーム汚染の果て――
▶少し古いお屋敷ですね。たぬきの地蔵がたくさん置いています。ついなちゃんっぽい、というよりそのまま具現化したような少女が大きい槍を構えて、こちらに向けて武器を構えます
青葉「うっわ……あれついなちゃんじゃないじゃん……。見た目はともかく神様じゃんあれ……」
夏乃「えぇ……逆になんでついなちゃんの姿してるの……」
青葉「わかんない……。鎮魂ノ歌歌える?歌えないならこれ見て!」
夏乃「う、歌ぁ!?ちょちょっと!」
▶青葉がハサミを分解し両手に持ち、20人近くに分身し始めます
青葉「多重分身!3回まではごまかすけど後はサポートお願い。3分くらいしか持たないからちゃんと覚えて歌ってね!」
▶ついなちゃん? 裂駆槍(物理必中20d10)旋風槍(物理必中3回。13d11)
119ダメージ 61ダメージ 75ダメージ 73ダメージ
[青葉:身代わり2回]
青葉「あっぶね……神様とサシはまずいまずい……」
▶ついなちゃん? 天雷槍(火物理。14d13)
[備えあれば]49ダメージ
▶夏乃 高速回復薬G 回復薬G3
青葉「ありがと。いやいやいやもう無理……当たる気しないんだよなぁ、というかその前に死ぬ」
▶ついなちゃん? 裂駆槍 旋風槍
[お前の手はお見通しだ][備えあれば3回]
30ダメージ 58ダメージ 37ダメージ 54ダメージ
▶ついなちゃん? 天雷槍
[備えあれば]43ダメージ
▶ついなちゃん? 裂風爆雷陣(風魔法2回。20d18)
[備えあれば2回]100ダメージ 107ダメージ
[捨て駒:200ベル]
青葉「かっ……は……いやいやきっついきっつい。殴っても刃先通らないしどうなってんのよ。歌はまだ!?」
夏乃「大丈夫!?まだ死んでないよね!?もうちょっとだけ頑張って!」
▶夏乃 清酒 我が身生け贄 青葉
失敗
▶ついなちゃん? 裂駆槍
[お前の手はお見通しだ]
30ダメージ
▶ついなちゃん? 旋風槍 天雷槍
[備えあれば4回]
54ダメージ 47ダメージ 51ダメージ 58ダメージ
▶ついなちゃん? 裂風爆雷陣 轟爆天翔撃(風、混成攻撃:陰。25d21)
[なんでや!]
1ダメージ 4ダメージ 0ダメージ
青葉「あー……遺骨は拾わなくていいから早く逃げて」
▶ついなちゃん? 皇刃蒼天衝(氷、固定ダメージ2回。70d14+41)
[備えあれば2回][いやズルくね?2回][なんでや!]
318ダメージ 42ダメージ
[捨て駒:2000ベル]
[夏乃:ドレミーのひつじ]
青葉「いやいや……もう無理もう無理。秋斗くんのぬいぐるみキックで私死んじゃうよ!?鎮魂ノ歌まだ!?そろそろ読めてない???」
夏乃 「一人逃げ帰った先でミステリ部背負わされてたまるか!」
夏乃「いるみるみるみるみるみねーしょーんーフェスタの開園!えっあってるんだよねこれ?」
青葉「あっそれ私のフルートの方の楽譜……!」
▶ついなちゃんと思われる少女はゆっくりと崩れ落ち、そのままおとなしくなります
夏乃「ちょっと、また最初からとか言わないよね!?」
青葉「いけた!想いが大事だから歌なんでもいいんだね……」
ついな?「なんだ……敵襲じゃないのか」
夏乃「最初から何でも……いやでもとにかく歌ってたら鎮める気持てないわ……」
青葉「はぁ……。で?なんかあったの?神様直々に襲ってくるとかやばみが凄いけど」
ついな?「私は銀長大明神……。二ツ岩が失踪したのは聞いていて、こちらも捜索をしておった」
銀長「が、ある日うちの神社が取り壊しの危機になってな。いろいろな意味で知名度が上がったのだ」
青葉「それは聞いてるわ。防災公園になるんだっけ?」
夏乃「神社って壊せるものなんだ……」
銀長「信仰のない神など木端妖怪と変わらぬからな。その神社取り壊しを反対した御旗のもとがこの少女なのだ」
銀長「――が、神社の御旗というものは、有り体にして御祭神と同等の扱いを受ける。混同され続けた結果、御旗の少女と変わらぬ見た目になってしまったのだ」
青葉「あー。吸血鬼の旦那も似たようなこと言ってたね」
夏乃「まさしく現代ナイズ」
銀長「それだけなら良かったんだがな。見た目が変化したせいで思うように本来の信仰が得られず、満足に探しに行けないのだ。別の要因……それこそ御旗の少女のイメージを上書きする何かがあれば別なのだが」
銀長「――見た所、そちらの女子は加護を持っているが、そちらは持っておらぬな。契約に従い力を貸すことが出来るが……」
青葉「私加護あるしなつのんいる?」
夏乃「神様の?力を?直接???」
夏乃「ください」
青葉「即決かよ……」
夏乃「え、なんかまずかったかな」
青葉「人生一つだけなのよ。人の身体だと神様パワーは色々きつすぎるのよ」
銀長「わかった。我の御力は開運大紋。それでも良いな?」
夏乃「そういう先生だって持ってるんでしょ?大丈夫お願いします!」
銀長「良かろう。我が力の開眼をその身に受け、誠の報ひ受けさせたまへ」
▶夏乃の全身に緑のオーラみたいなのが漂い、身体に染み入るようにオーラが浸透していきます。オーラが見えなくなると、力を受け取ったのを感じます
夏乃「はぁぁぁ……なんか凄いことになったなぁ」
青葉「神様パワーを使い倒して生き延びるのよ。30超えたらレジェンドよレジェンド」
夏乃「……短くない?」
青葉「戦死するからねえ……。当時のお友達ももう半分くらいよ」
銀長「大方、二ツ岩は願いを叶えに行ったのだろう。3ヶ月経っても音沙汰がないのは危険だ。ゆめゆめ気を付けろ」
――小松島市 銀長神社:境内――
▶弾き飛ばされるように悪鬼から戻ってくると、狸耳のメイドが小走りでこちらにやってくるのが見えますね
夏乃 「願いを叶えにってなに、神様の神様でもいるわけ」
青葉「いいえ。当たり前なんだけど、願いを叶える対象があるはずなんだけど……」
メイド「こちらにいましたか……」
青葉「あら紅葉の」
メイド「高井八幡神社にて、隠神刑部様が行方不明になりました……」
青葉「えぇ……」
夏乃「神様の失踪が流行るとか冗談じゃないんだけど……」
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