2018年12月09日 対策会議

――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉――


夏水「それで帰ってきたのか。新潟への栄転したんじゃなかったのか?」


もみじ「お客さんがいなーい……。暇で暇で……ってそうじゃないのよ。うちの秋夜くんとことりちゃんがワンチャン殺されそうだったの。紅葉の戦力的に見ても、ちょーっとまずいかなって思ってね」


夏水「はーん……。それで呼べそうな面子かき集めたってわけね」


もみじ「とりあえず話まとめておくから、遊んでおいて」


花恋「えー……丸投げ……」

幽雅「どうしましょうか……。腕立てでもしておこうかな」


▶このはが戻ってきますね


秋月「ただいま戻りました、お久しぶりです~」


幽雅「お久しぶりですこのはさん。携帯では何度かご連絡させていただきましたが、その後も変わらずでしたか?」


秋月「はい。あっでも……」

秋月「こうして会って話せるっていうのはやっぱりいいですね~」


幽雅「そうですね。やっぱり顔を見ると安心できます」


秋月「ところで、今日はみんなで集まってなにを?」

玲海「それがねー、ことりとしゅーやがヘマしたらしくって」

秋月「えぇ、そんなことになってたんですか……」


皐月「対策会議だから呼べる人間を片っ端から呼んだんですって。紅葉ですらないし、私忙しいんだけど?」

もみじ「でも、来てくれたんでしょ?」

皐月「それはそうだけどさ……」


花恋「まあでも、むずかしー話は彩音とかがやってくれるから、私達はランチよランチ。久々に会えたしね」

玲海「そそ。このはちゃんまたね~」

夏水「聞かないのかよ……」


▶2人は揃ったのを確認すると、出ていってしまいました


秋月「えっ、はいまた……。えっ?もみじさん急がなくていいんですか?」


もみじ「いいのよ。これからの配置転換とか、戦略を練る時間も必要だし、ゆっくりしてきなさいな」


秋月「そうですか……。じゃあ、ゆーがくん遊びましょうか」


幽雅「いいですよ。どこに行きますか?このはさんの好きなところでいいですよ」


秋月「久しぶりに戻ってきましたし、懐かしい場所にでも~」


幽雅「はい。このはさんが言うのならどこへでも」


――朱鷺森市 秘密の場所――


▶久々に、湖のほとりの裏道を通った先にある、景色が綺麗な場所に幽雅を連れてきました


幽雅「ここも久々……ってほどじゃないです。近くを来る機会があれば結構一人で来てます」


秋月「そうなんですか?なんだか嬉しいですね」


幽雅「あのとき、僕は社会の歯車から外れることを決めたんです。壊れものでも壊れるその時まで大事にするって決めたんです」


秋月「壊れ物でも、どうか壊れないようにも大事にしてくださいね。失ってからじゃ遅いです」


幽雅「大丈夫ですよ。割れ物は見えるところでしか割れませんから。僕はもうこのはさんに生涯を捧げたんです」


秋月「ありがとうございます~。でも、何もなかったとしてもいずれ一人残されるのは……わたしです。捧げると言うのなら、どうか少しでも長く……」


幽雅「このはさんがそういうのなら……わかりました。1秒でも長く、長く生きます。それがこのはさんの望みで、僕の望みです」


秋月「ごめんな……いえ、なんでも。離れているとどうしても不安ばかり大きくなってしまって」


幽雅「大丈夫ですよ。僕がこのはさん以外を見ることはありませんし、僕が僕である限りこのはさんを不安にさせることはしません」


秋月 「そのゆーがくんが……えっと、ゆーが君がこのはに望むことはないんですか?せっかくなので交換しましょ~」


幽雅「言って……いいですか?」


秋月「なんですか?」


幽雅「手を握って、僕は頑張ったよって言ってください…………」 


▶幽雅は、恐る恐る手を前に出します


秋月 「いつもいつも……ありがとう」


▶このはは、一旦手を握った後そのまま引き寄せて、抱きしめます


幽雅「すいません……甘えたこといいました。迷惑をかけました。すいません、ごめんなさい」


秋月「言ってくれて、このはは嬉しかったですよ?迷惑かけずに生活なんてできないですから」


幽雅「ごめんなさい。もっと頼ってもらわないといけませんね。また捨てられてしまいます」


秋月「それこそ杞憂です~。絶対ゆーがくんに頼ることはありますし、捨ててもいい人に少しでも長く隣に……なんて言いません!」


幽雅「そうですね。僕のほうがこのはさんを信じきれてなかったみたいです。すいません、ありがとうございます」


▶ゆっくりと、幽雅は離れます


秋月「いえ……お互い様です。えへへ」


幽雅「不甲斐なくてすいません。早めに戻っておきましょうか。もみじさんに怒られたくはないですから」


秋月「はい~」


――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉――


皐月「皇の対策ね……。まあそれなら冬泉が組むメリットはあるけど、今後助けないわよ。流石に下に示しがつかないわ」

もみじ「まあそれはこっちもそうだから。流石に神様が消えるってのは前代未聞よ」

皐月「そうね……。とりあえずそっちの面子だけ教えてくれるかしら?」

もみじ「はーい……えーっと、鈍行で帰らせてるバカップルと、あの風来妖怪と、ちびっこ……ああきたきた。あいつらにはあとから私が説明しとくわ」


幽雅「すいません。遅れちゃったみたいで」

秋月「この後はどうするんでしょうか?」


もみじ「まだ調べてないからどうともだけど、恐らく二ツ岩大明神が失踪してるわ。妖怪の統治が悪くなって各所で事件が起きると思うから、単独行動は禁止にしました」

もみじ「とりあえず朱鷺森支部ではペア、もしくは三人ずつ派遣します。籤引きにしても仕方ないから、希望ね」

もみじ「今いるところはとりあえず転勤。本部にも話通ってるから後のことは考えなくていいわ。あとは決まり次第私に伝えてね。暇できるのは明日までだから、それまでよろしく」

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