転生したら悪事後の悪役令嬢で、とりあえず謝りました!

葉月みつは

第1話 謝ったら、逆転した

目を覚ますと、私は、小説の世界に転生していた。

だけど、それが、それが、ヤンデレの悪役のハルなんて!

(わ、私の転生あんまりじゃないですかー!)

確か、内容はあんまりにもヒロインの男を愛しすぎて嫉妬のあまりヒロインをさしてしまう。

うっ、想像しただけで気持ち悪い……

ゴロゴロ ピカッ

後ろで雷が鳴り響く。

ドンドンドンドン

「いるんだろ!この、人でなしが!」

ん?この声は……確か……

ドーン

部屋のドアが外れた。

そこに現れたのは、この物語の王子様。

「彼女にこれ以上危害を加えるなら、もうみてられない!」

あぁー、ヒロインにやっぱり意地悪していたんですねーこのやんでれは……

王子は怒りで顔が真っ赤だ。

「聞いてるのか?」

鋭く睨めつけるその姿怖いです。

「はい。聞いております。すいませんでした。もうやりません」

「なんていわ、えっ?お前が謝ったのか?」

困惑した顔で私を見つめる。

そういえば、ヤンデレ悪役令嬢は、謝ったことなかったけ?

「はい、私に罰をお与えになって婚約も破棄で構いません。どうぞお好きなように……」

私は、王子に背中を向け部屋から出ていった。

人気がないところまで歩いた。

「おい!」

後ろから声をかけられ振り向くと、そこには幼なじみ(記憶では)のカイが立っていた。

よくみるとこっちもなかなかイケメン。

「はい?」

「王子をたぶらかしたー、とかいって復讐してやるーとかいってたお前がなにたくらんでる?」

こっちも、ヤンデレのひどさを知っているのね……

「目が覚めると天からお告げがあったの。悔い改めなさいとね。だからよ」

一生懸命、真剣さをアピールする。

「おまえが?お告げ?信じられん」

疑うのも無理はない……あのヤンデレ具合は私でもひいた。

「そうね、今までの行いからは、信じられないわよね。どうしたら信じてもらえるかしら?」

「……無理だとは思うが、皆の前で今までの悪事を自分の口で謝るなら許されるかもな」

疑う表情を崩さずカイは言う。

「いいわ。今日はこの後パーティーよね、その時にいいましょう」

私は、背中を向け歩き出す。




時間になり、パーティーが始まった。

国中の高貴な貴族が勢揃いだ。

ダンスタイムが終わり、私は、王族が座る席に跪く。

周りがざわめく。

「王家の方々に私の悪事を処罰してほしいのです。どうか、私の罪の数々をお聞きください」

「これは、これは、王子の婚約者のハルではないか?なぜこのような……」

「お告げがあったのです。聞いていただけますか?」

「わかった。いいだろう」

悪役令嬢ハルがしてきたであろう悪事をスラスラと伝える。その原因が嫉妬であったことも。話が終わると王様は、私への罰を伝えた。

「ハルよ、もともとは、私の王子への甘さが招いた部分もある。すまなかった。罰についてだが、もう既にこの場で罪を告白したのが罰になったと判断した。婚約は解消する。今まですまなかった」

王族の方や貴族の方々へ、挨拶をすませ退室した。

その後は、部屋でのんびりと過ごした。




次の日、メイドから話を聞いた。

私が退室した後の話だが、どうやら、ハルがここまで歪んだのは、王子とヒロインのせいもあると騒ぎになったそうだ。

次の王様は第2王子になる方向で話が進んでいると言う。

トントン

「どうぞ」

部屋にはいってきた人物を見て驚いた。

「失礼します。連絡もなしに部屋に訪れたことお詫び申し上げます。第2王子のセツナです」

その顔を見てボーと思わず見つめてしまった。

礼儀正しいし、やっぱりあの弟だけあってイケメンだな……

その表情が困惑に変わりハッと我に返る。

「えぇ、驚きました。どうしましたか?」

「えっと、いいにくいんですが、昨日あの場で罪を告白していた姿を見て、カッコいいと思ってしまい……」

懐から四角い手のひらに乗るくらいの箱を取り出す。

「これを受け取ってくれませんか?あなたの姿に惚れてしまったのです」

耳まで真っ赤なセツナ様。

かっ、かわいい。

箱を受け取る。

「わ、私でよければおうけいたします」

セツナ様は、パァーと満面の笑顔を私に向ける。

まっ、眩しい。

それから、とんとん拍子に話が進みセツナ様の婚約者になった。

周りから第1王子との婚約破棄については、同情する人がたくさんいて驚いた。

まだ、まだ、物語は続くけど、ヤンデレ公爵令嬢のストーリーに添うつもりはない。

まあ、でもこんな転生もありかな♪

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転生したら悪事後の悪役令嬢で、とりあえず謝りました! 葉月みつは @hazukimizuha

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