13. おおばかもの

俺のベッドに座る幼馴染は、俺に対して危機感を全く持っていない。それは信頼してくれているということか、それとも、男として意識されていないということか。


「そらー」

「ん?」

「この漫画、続きどこ?」

「まだ出てない。それが最新刊」

「まじかー」


ニットセーターなんか着ているせいで強調されている胸。俺が悪い男だったら、即押し倒している。それができないのは、今まで培ってきた関係があるからだ。


「ゆず」

「なに?」

「お前は、少し危機感を持ちなさい」

「え?」

「男の部屋でそんな無防備に過ごすな」

「男って言ってもそらだよ?」

「そらって言っても男なんです」

「そらはあたしに興奮するの?」


ストレートな物言いに、俺は息を止めてしまった。

興奮しないと言ったら嘘になる。でも、興奮すると言ってしまったら、俺たちの幼馴染という関係性は終わってしまう。


「いいよ、そらなら」

「え?」

「あたしのはじめて、もらってください」


ゆずの気持ちに気付かなかった俺は、大馬鹿者だ。

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