信号と街灯

 最近、学校へ行く道の信号機がLEDのものになった。あまり大きさがいらないのだろうか。薄っぺらいものに変わってしまっていて、なんだかそれを見るとなんとも言えない寂しさを感じた。そういえば家の近くの街灯も、LEDのものになっていたなと思い出す。今までの街灯はその明かりの中に暖かさを感じられていたんだけど、今は冷たさしか感じない。それはそれで綺麗ではあるんだけれど、どうにも、寂しい。

 世界的な感染拡大や、選挙等々、私達の世界は目まぐるしく変わっていく。しかし、それはほとんど自分の目に見える範囲では変わらない。ニュースや新聞、SNSを見ていなければ気付かないことが多いのだ。LEDの話はいつ出てきただろうか。少なくとも最近では無かったように思う。如何せん、時差がすごい。地方に住んでいるということも関係するのだろうか。それはまあ分からないけれど、それにしても、文字だけの情報と実際に体験することとでは感じ方がかなり違うなと思う。なるほど、これがよく目にする、「実感する」というやつなんだろう。

 自分がまだ実感していない状態で、本当の意味で理解していないうちに世界は変わっていく。実感したその瞬間には、もう遅いのだ。昔の良さは懐かしむことが出来ても、体験することは出来ない。昔の良さは、気づいたときにはもう失われてしまっている。それがどうにも、寂しくて悲しい。

 「今」を大事にしよう。そう思った。「過去」になってしまう前に。「今」を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る